フランチャイズ本部の運営:全店でそろえるもの(メニュー・数字)と、加盟店に任せるもの

机の上に並べた何枚もの用紙に、付せんを貼って見比べている手元

フランチャイズ本部の運営で全店にそろえるのは、ブランドの中身(メニューの名前・所要時間・施術の手順)と、数字の定義の 2 つです。価格は、本部が推奨の価格を示すところまでにとどめ、最後は加盟店が決める形が基本です。公正取引委員会は、本部が加盟店の販売価格を守らせると独占禁止法の問題になるおそれがあると示しています。この記事では、サロン・整体の FC 本部向けに、そろえるものと任せるものの表、価格の考え方、メニューの型を配る流れ、ロイヤルティに使う売上の定義のチェックリスト、加盟店の数字の見方を順に説明します。

フランチャイズ本部の運営で、本部が担うこと

フランチャイズ(FC)では、加盟店は本部とは別の事業者です。直営の店のように、本部が店の運営を命令で決めることはできません。本部は、契約で約束した範囲で、ブランドとノウハウを渡し、加盟店の経営を支えます。

本部の仕事は、大きく次の 5 つに分けられます。

本部の仕事中身
ブランドとメニューの型店名・ロゴの使い方、メニューの名前と施術の手順、所要時間を決めて全店に渡す
研修開業前の研修と、新しいメニューを足すときの研修
店舗の支援SV(スーパーバイザー。加盟店を回って助言する本部の担当)が、数字と現場を見て一緒に改善する
数字を集めて見る全店の売上・客数・リピートを同じ定義で集め、離れている店を見つける
加盟店の募集と契約契約前に重要な事項を書面で示し、説明する

加盟店が 20〜30 店舗を超えるころから、SV が全店を順に回るだけでは状況をつかみきれなくなります。どの店から回るかを数字で決め、どの店にも同じ型を渡せる仕組みが、本部の運営の中心です。直営の店舗を本部がどう管理するかは、多店舗の店舗管理の方法で説明しています。

全店でそろえるもの・加盟店に任せるものの線引き表

下の表は、サロン・整体の FC で、本部が決める項目、推奨にとどめる項目、加盟店が決める項目の目安です。実際の線引きは、フランチャイズ契約の書き方で変わります。

項目本部が決める推奨にとどめる加盟店が決める決めるときの注意
店名・ロゴ・看板の使い方○ブランドの約束なので、全店で同じにする
メニューの名前と施術の手順○名前が同じでも中身が違うと、お客様の信頼を損ねる
メニューの所要時間○予約の枠と、数字を比べる単位になる
使う薬剤・商材○(品質の基準)仕入れ先仕入れ先を本部の指定に限るときは、理由を説明できるようにする
価格○○推奨の価格を示すまで。守らせると問題になるおそれがある(次の節)
割引・キャンペーン全店の企画○店独自の企画店独自の値下げを止めるときは、理由と範囲に注意する
営業時間・定休日最低限の基準○○地域の事情に合わせられる余地を残す
地域の広告表現の基準○ロゴや写真の使い方だけ基準を決める
採用・給与研修の受講○雇うのは加盟店。本部は研修の中身を決める
予約の受け方・キャンセルの決まり文面の型○○お客様から見て全店で同じだと安心しやすい
数字の提出○(定義と締め日)何を、いつ、どの定義で出すかを契約に書く
お客様の情報の扱い基準と仕組み○(自店の顧客)加盟店のお客様の情報は、加盟店が管理する個人情報になる

表の「本部が決める」も、契約に書いていなければ加盟店に守ってもらう根拠になりません。決めたことは、契約書かマニュアルに書いて渡してください。

価格の統一はどこまでできるか

推奨の価格を示し、決めるのは加盟店

公正取引委員会の「フランチャイズ・システムに関する独占禁止法上の考え方」は、本部が統一した営業や消費者の信頼のために、希望の価格を示すことは認められうるとしています。一方で、加盟店に価格を守らせる(拘束する)ことは、独占禁止法上の問題になるおそれがあると示しています(公正取引委員会 https://www.jftc.go.jp/dk/guideline/unyoukijun/franchise.html )。

サロン・整体の本部が気をつけたいのは、次のような運用です。

  • 推奨の価格と違う価格にした加盟店に、契約の解除をほのめかす
  • 価格を下げた加盟店にだけ、商材の供給や支援を減らす
  • 予約サイトや看板の価格を、本部の承認なしに変えられないようにする

価格をそろえたい理由がある場合も、まずは「全店で同じ価格にすると、お客様にどんな良いことがあるか」を説明し、推奨として示す形にします。価格を見直すときのお客様への伝え方は、サロンの値上げの進め方を参考にしてください。

加盟店に不利な条件を押しつけない

同じ考え方では、本部の立場が強いことを使って、加盟店に不利な条件を押しつけることも問題になりうるとしています(優越的地位の濫用)。必要以上の商材の仕入れを求める、契約前に聞いていない費用を後から負担させる、といった運用は避けます。

契約前に示すこと

中小企業庁は、中小小売商業振興法で、小売業(飲食を含む)の一定のフランチャイズの本部に、契約前に事業の概要や契約の主な内容を書面で渡して説明する義務があると案内しています。サロン・整体のようなサービスの FC がこの義務に当たるかは、事業の内容で変わります。当たらない場合も、加盟金・ロイヤルティ、契約の期間・更新・解除、本部の支援の内容など、加盟店にとって重要な事項を前もって書面で示し、説明することが大切だとしています(中小企業庁 https://www.chusho.meti.go.jp/shogyo/shogyo/franchise.html )。

ここでの説明は、公的機関の公表資料をもとにした一般的な考え方です。契約の書き方や、自社の運用が問題になるかどうかは、弁護士などの専門家に相談してください。

メニューの型を全店に配る流れ

メニューの型は、メニューの名前・所要時間・施術の内容を、本部が 1 つにまとめたものです。全店が同じ型を使うと、お客様はどの店でも同じ施術を受けられます。本部は、同じメニューのまま店舗の数字を比べられます。

メニューの型を全店にそろえる 5 つの手順の図。1 本部が型を作り、メニュー名・所要時間・施術の内容をそろえる。2 契約と照らし、本部が決めてよい範囲か、価格は推奨にとどめるかを確かめる。3 加盟店に配り、変える点と理由を先に伝える。4 加盟店が価格や受ける時間帯など、自店で決める項目を決める。5 全店の数字を同じメニューのまま比べる。
  1. 型を作る:本部が、メニューの名前・所要時間・施術の手順を決めます。所要時間は予約の枠になるので、研修で教える手順の時間と合わせます。
  2. 契約と照らす:その項目を本部が決めてよいかを契約で確かめます。価格は推奨として示します。
  3. 加盟店に配る:新しいメニューや変える点は、理由と一緒に先に伝えます。研修が要るメニューは、研修の日程も添えます。
  4. 加盟店が決める:価格や、そのメニューを受ける時間帯など、加盟店が決める項目を各店で決めてもらいます。
  5. 同じ物差しで比べる:配ったメニューの予約数やリピートを、全店で並べて見ます。

地域に合わせたメニューを加盟店が足したいときは、本部の型とは名前の付け方を分けておくと、全店の比較が崩れません。たとえば、本部の型のメニューには決まった名前を使い、店独自のメニューには「店舗限定」と付ける、といった決まりです。

ロイヤルティに使う売上の定義をそろえる

ロイヤルティを売上に応じて計算する場合、「売上」の定義が店によって違うと、払う額も比べる数字もずれます。契約書と、毎月の集計の両方で、次の点をそろえてください。

  • 税込か税抜か
  • 店販(シャンプーなどの物販)を含めるか
  • 回数券・月額の通い放題を、売ったときに数えるか、使ったときに数えるか
  • 予約のときの事前決済を、支払いの日と来店の日のどちらで数えるか
  • キャンセル料・変更料を含めるか
  • 指名料を含めるか
  • 値引き・ポイント・ギフト券で払われた分を、引く前と後のどちらで数えるか
  • 返金があった月の扱い
  • 締め日と、本部に出す期限

ここが決まっていないと、同じ月の売上でも店によって数え方が変わります。回数券のように、売った月と使った月がずれるものは、とくに先に決めておきます。会計や税務の扱いは、税理士などの専門家に確かめてください。

売上のほかに全店で数え方をそろえたい数字(新規・再来・次回予約率など)は、多店舗の店舗管理の方法の「全店で揃える数字の定義」にまとめています。次回予約率の数え方は、次回予約率の計算方法と取り方で説明しています。

加盟店の数字の見方と、支援する店の選び方

全店の数字を同じ定義で集めたら、次の順で見ると、SV がどの店から回るかを決めやすくなります。

  1. エリアやブランドごとに店をまとめ、まとまりの中で比べます。出店した時期や店の広さが近い店どうしで比べると、差の理由を探しやすくなります。
  2. 新規客数、新規の 2 回目の来店、次回予約率、稼働率(施術の時間を出勤の予定時間で割った値)のどれが離れているかを見ます。
  3. 離れている店を選び、SV が現場で予約表とカルテを一緒に見ます。数字だけで判断せず、理由を店長から聞きます。
  4. 打ち手を決め、翌月の同じ数字で確かめます。

全店の比較表を加盟店に見せる場合は、店名を出すかどうかを先に決めておきます。順位だけが伝わると、下位の店の意欲が下がることがあります。比べる目的は、離れている店を本部が手伝うためだと伝えてください。

加盟店のお客様の情報は、本部とは別の事業者である加盟店が管理する個人情報です。本部がお客様の名前まで見る仕組みにする場合や、加盟店どうしで情報を共有する場合は、個人情報保護法の第三者提供や共同利用の考え方を、個人情報保護委員会のガイドラインで確かめてください(個人情報保護委員会 https://www.ppc.go.jp/personalinfo/legal/guidelines_tsusoku/ )。直営と FC で何が違うかは店舗間の顧客情報の共有にまとめました。扱いに迷うときは、専門家に相談してください。

直営から FC にする前に、本部が整えておくこと

直営のチェーンから加盟店を募る段階に進むときは、次の 4 つを先に整えておくと、加盟店が増えてから決め直す手間を減らせます。

整えること中身
メニューの型とマニュアル名前・所要時間・施術の手順を文書にし、研修で教えられる形にする
数字の定義売上・客数・リピートの数え方と、締め日を決める
全店で同じ仕組み予約・顧客・会計の記録を、全店で同じ仕組みに残す
契約と開示の書面本部が決める範囲、ロイヤルティの計算、契約の期間・更新・解除を書く

店ごとに別の予約システムや紙の予約表を使っていると、数字の定義をそろえても、集めるたびに手作業が要ります。加盟店が増える前に、記録の仕組みをそろえておくのが近道です。

Leporto の FC 本部機能でできること

Leporto は、予約・顧客・カルテ・売上と集客の分析・LINE 連携をまとめた、経営改善型の予約管理システムです。最低でも 20〜30 店舗の規模のチェーン・FC 本部向けに、FC 本部機能があります。

FC 本部機能では、店舗をエリアやブランドのグループに分けて管理でき、本部から店舗へメニューの型を配れます。加盟店ごとにメニューを一から作らずに済み、メニューの名前や所要時間を全店でそろえられます。

下は、店舗の管理画面のメニュー一覧です。メニューごとに価格・所要時間・使う設備が並びます(1 店舗の画面で、FC 本部機能の画面ではありません。表示はデモデータ)。

Leporto の店舗の管理画面のメニュー一覧。カット+カラー 120 分、パーマ 150 分、トリートメント 30 分の 3 つのメニューに、価格・所要時間・使う設備(シャンプー台・セット面など)と、更新・削除の操作が並ぶ(デモデータ)

多店舗の管理画面では、店舗と同じ分析を見られ、店舗をまたいだ集計もできます。店舗の予約・会計・カルテの記録から同じ定義で数字を出すので、本部は加盟店からの報告を待たずに、新規と既存の予約件数や実リピート率、次回予約率、稼働率を全店で同じ数え方のまま比べられます。

Leporto の管理画面の新規・既存分析。2026 年 1〜10 月の予約件数を新規と既存に分けた積み上げの棒グラフと、実リピート率(30 日当たり)の線。左にスタッフの絞り込みがある(1 店舗の画面。デモデータ)

エリアの担当者や SV には、子管理者として担当の店舗だけに絞ってログインさせられます。受け持ちでない店のお客様の情報を開かせずに済みます。

FC 本部機能は、店舗ごとの月額とは別にかかる機能です。本部の体制に合うプランは、複数店舗と FC 本部の機能のページと料金・プランをご覧ください。

店舗の数、グループの分け方、加盟店に任せる範囲をうかがったうえで、Leporto でどう管理できるかを一緒に確かめます。デモのご希望や導入のご相談は、お問い合わせからお送りください。

参考にした公的機関の資料

いずれも 2026 年 10 月 18 日に参照しました。

よくある質問

全店で同じ価格にそろえてはいけないのですか?

本部が推奨の価格を示し、加盟店が自分の判断で同じ価格にすることは、それだけで問題とはされません。気をつけたいのは、推奨と違う価格にした加盟店に不利な扱いをするなど、価格を守らせる運用です。どこまでが許されるかは契約と運用の中身で変わるので、詳しくは専門家に相談してください。

メニューを全店でそろえると、加盟店の工夫が消えませんか?

型にするのは、メニューの名前・所要時間・施術の手順など、お客様にとってブランドの約束になる部分だけにします。地域に合わせたメニューは、本部の型と名前の付け方を分けて足せるようにしておくと、加盟店の工夫と全店の比較を両立しやすくなります。

加盟店の売上を本部が見るのは問題ありませんか?

ロイヤルティの計算や経営の支援のために、どの数字を、いつ、どの定義で本部に出すかを契約に書いておけば、本部が売上を見る根拠になります。お客様の名前など個人情報まで本部が見る場合は、個人情報保護法の扱いを別に確かめてください。

何店舗から本部の仕組みが必要ですか?

決まった店舗数はありません。加盟店が 20〜30 店舗を超えると、SV が順に回るだけでは全店の状況をつかみにくくなり、数字で回る店を決める仕組みが必要になってきます。FC 化を考え始めた段階で、メニューの型と数字の定義を先にそろえておくと、店舗が増えてから決め直す手間を減らせます。

加盟店ごとに予約システムが違っていても、本部で数字を集められますか?

集められますが、店ごとに数え方がずれやすく、毎月の集計に手作業が要ります。数字の定義を書面でそろえたうえで、記録の仕組みも全店で同じにすると、本部は報告を待たずに同じ物差しで全店を見られます。