店長会議の進め方:60分の議題と、全店の数字で話すこと・決めること
店長会議の進め方の基本は、報告を聞くだけの場にせず、前月の打ち手の結果を確かめ、今月の打ち手を店ごとに1つ決める場にすることです。そのために、資料は会議の数日前にそろえ、当日は「前月の結果 → 全店の数字 → 店ごとの打ち手 → 本部からの共有」の順に進め、決めたことを記録表に残して翌月の最初に確かめます。この記事では、60分の議題テンプレート、店長が持ってくる1枚の資料、数字を見る順番、打ち手の決め方と記録表、結果の確かめ方を順に説明します。
店長会議は何のために開くのか
店長会議の目的は、大きく3つに分けられます。1つ目は、前の会議で決めた打ち手が実際に行われ、数字がどう動いたかを確かめることです。2つ目は、今月それぞれの店が何をするかを決めることです。3つ目は、うまくいった店のやり方をほかの店に広めることです。
逆に、メールやチャットで済む連絡を読み上げる時間や、数字を1つずつ読み上げる時間は、会議でなくてもかまいません。店長が店を空けて集まる以上、集まらないとできないこと、つまり話し合って決めることに時間を使います。
中小企業基盤整備機構の J-Net21 では、店長会議で発言が少ないという相談に対して、会議が経営陣から店長への一方通行の場になると店長が発言を控えるようになること、業績の悪い店長を責めると発言が期待できないことを挙げています。そのうえで、「店長会議は店長を応援する場」と捉え、発表の資料を前もって出してもらい、経営陣が助言してから当日を迎える進め方を勧めています(出典:J-Net21「会議時に出席者の発言が少なく、困っています。」)。この記事の進め方も、この考え方に沿っています。
| 会議でやること | 会議でなくてよいこと |
|---|---|
| 前月の打ち手をやったか、数字がどう動いたかを確かめる | 全店の数字を1つずつ読み上げる |
| 差の大きい数字について、理由を店長に聞く | 決まった連絡事項の読み上げ(資料を前もって配る) |
| 店ごとに今月の打ち手を1つ決める | 1つの店の細かい事情を長く話し合う(会議の後に個別で) |
| うまくいったやり方を、ほかの店長に話してもらう | 数字の順位を発表する |
店長会議の資料:前もってそろえるもの
会議の質は、当日の前にほとんど決まります。資料は本部が用意するものと、店長が持ってくるものの2つに分け、会議の数日前に集めます。本部は先に目を通し、気になる点があれば会議の前に店長に聞いておくと、当日の話し合いが早く進みます。
本部が用意する全店の比較表
本部は、全店の数字を同じ形で並べた比較表を用意します。比べる数字は、全店で同じ数え方にしておくことが前提です。売上を税込で数える店と税抜で数える店が混ざると、差は店の実力ではなく数え方の差になってしまいます。数字の定義と、店の大きさや開店からの年数をそろえた比べ方は、多店舗の店舗管理の方法で説明しています。
店長会議で並べる数字は、次のようなものです。全部を毎回話す必要はなく、表に載せたうえで、会議では差の大きいものだけを取り上げます。
| 数字 | 会議で見る理由 |
|---|---|
| 新規の次回予約率・既存の次回予約率 | 2回目以降につながるかを、売上より早く知らせる |
| 新規の再来率(実際に2回目に来た割合) | 次回予約を取らないお客様も含めて、戻ってきたかを確かめる |
| 来店のきっかけ別の新規客数 | 新規が減ったときに、どの経路が減ったかを分けて見る |
| 稼働率 | 予約が入りすぎているのか、空いているのかを出勤の時間と比べて見る |
| 客単価 | メニューの組み方や店販の提案が変わったかを見る |
| 当日キャンセル・無断キャンセルの件数 | 予約の運用で防げる損を見る |
| 広告費と新規1人あたりの費用(CPA) | 広告を出している店で、費用に見合う新規が来ているかを見る |
| 売上 | ほかの数字の結果として、最後に確かめる |
店長が持ってくる1枚のシート
店長には、自分の店について1枚にまとめたシートを出してもらいます。形をそろえておくと、本部が前もって読みやすく、会議の中でも店どうしを比べやすくなります。次の表は、シートの欄のたたき台です。
| 欄 | 書くこと |
|---|---|
| 先月の数字 | 本部が決めた数字を、決めた定義どおりに書く |
| 先月の打ち手と結果 | 前の会議で決めた打ち手をやったか、やれなかったか。確かめる数字はどう動いたか |
| いちばん気になる数字 | 1つだけ選び、店でしか分からない事情(スタッフの退職、近くの競合の開店など)を添える |
| 今月の打ち手の案 | 1つだけ。誰が、いつから、どの数字で確かめるか |
| 本部やほかの店に頼みたいこと | 応援のスタッフ、研修、販促物など |
| ほかの店に共有できるやり方 | うまくいったことと、その手順 |
「いちばん気になる数字」と「今月の打ち手の案」を1つに絞ってもらうのがポイントです。気になることを全部書くと、会議で何を決めるのかがぼやけます。店長自身が1つを選ぶことで、数字を自分ごととして読む練習にもなります。
60分の議題テンプレート
次の表は、月に1回、60分で開く店長会議の議題の例です。時間の配分は店の数や会議の目的で変えてかまいません。ただし、話し合って決める時間(ここでは25〜45分)は、ほかの議題よりも長く取ってください。
| 時間 | 議題 | 進め方 |
|---|---|---|
| 0〜5分 | 今日決めることの確認 | 司会が議題と、前回の会議で決めた打ち手の一覧を見せる |
| 5〜15分 | 前月の打ち手の結果 | 各店が「やったか」「確かめる数字はどう動いたか」を短く話す |
| 15〜25分 | 全店の数字 | 本部が比較表を見せ、差の大きい数字を2〜3個に絞って示す |
| 25〜45分 | 店ごとの打ち手を決める | 取り上げた店の店長が案を出し、ほかの店長が自分の店のやり方を話す。最後に担当・期限・確かめる数字を決める |
| 45〜55分 | 本部からの共有 | メニュー・販促・ルールの変更など。資料は前もって配り、ここでは要点と質問だけにする |
| 55〜60分 | 決めたことの読み上げ | 打ち手の記録表を画面に出し、店ごとに担当・期限・確かめる数字を全員で確かめる |
次の図は、上の表の6つの議題を時間の順に並べたものです。

店の数が多く、全店の話を60分に収められないときは、すべての店を同じ時間ずつ取り上げる必要はありません。数字が大きく動いた店や、本部が手を貸したい店を前もって選んでおき、ほかの店はシートの提出と記録表の更新で済ませる方法があります。エリアごとに分けて会議を開き、全体の会議では各エリアの要点だけを共有する形もあります。
司会は本部の人が務めることが多いですが、話し合いの時間には本部が答えを出しすぎないように気をつけます。本部が先に正解を言うと、店長は案を考えずに指示を待つようになります。
全店の数字で何を話すか:見る順番
数字は、売上から見ないのがコツです。売上は、客数・次回予約・再来・客単価などが積み重なった結果なので、売上だけを見ても何をすればよいかが分かりません。会議では、早く動く数字から順に見ていきます。
- 新規・既存の次回予約率:会計のときに次の予約が取れたか。翌月の予約の入り方を早く知らせる
- 新規の再来率:次回予約を取らなかった人も含めて、実際に戻ってきたか
- 来店のきっかけ別の新規客数:新規の増減を、経路ごとに分けて見る
- 稼働率:予約の入り方を、スタッフの出勤の時間と比べて見る
- 客単価と売上:ここまでの数字の結果として確かめる
それぞれの数え方は、次回予約率の計算方法、リピート率の計算方法、サロンの稼働率の計算で説明しています。
数字の動きと、会議で店長に聞くこと
数字の差を見つけたら、店長に理由を聞きます。次の表は、よくある数字の動きと、会議で聞くことの例です。理由を決めつけず、店の事情を聞いてから打ち手を考えます。
| 数字の動き | 会議で店長に聞くこと |
|---|---|
| 新規の次回予約率が下がった | 初回の接客で、次の来店の目安と理由を伝えているか。担当者によって差はあるか |
| 既存の次回予約率が下がった | スタッフの休みや退職で、担当が替わったお客様が多くないか |
| 新規客数は多いが、再来率が低い | どのきっかけで来た新規か。きっかけによって再来率に差はあるか |
| 新規客数が減った | 来店のきっかけのうち、どれが減ったか。広告や掲載の内容を変えていないか |
| 稼働率が高く、新規の予約を受けにくい | シフトや予約の枠に空きを作れるか。ほかの店からの応援で埋められるか |
| 稼働率が低い | 予約の入らない曜日や時間帯はどこか。出勤の時間が予約に比べて多すぎないか |
| 当日キャンセル・無断キャンセルが増えた | 前日のリマインドを送っているか。同じお客様が繰り返していないか |
| 広告の CPA が上がった | どの媒体で上がったか。その媒体から来た新規は2回目に来ているか |
新規客数が少ない店では、1人の違いで割合が大きく動きます。1か月だけの数字で打ち手を決めず、3か月分をまとめて見るか、前の年の同じ月と比べてから判断します。キャンセルが増えた店の打ち手は、サロンの無断キャンセル対策で説明している予約の確認とリマインドの流れが参考になります。
打ち手の決め方と、打ち手の記録表
会議で決める打ち手は、1店につき1つにします。一度にいくつも始めると、数字が動いたときにどれが効いたのか分からず、店長の手も回りません。
打ち手は、翌月に「やったか」と「数字が動いたか」を確かめられる形で書きます。「頑張る」「意識する」で終わる打ち手は、翌月に結果を確かめられません。
| あいまいな打ち手 | 確かめられる打ち手 |
|---|---|
| 次回予約を頑張る | 新規のお客様には、仕上がりを確かめるときに次の来店の目安と理由を伝える。確かめる数字は新規の次回予約率 |
| 新規を増やす | 来店のきっかけ別に新規を見て、減った経路の掲載内容を見直す。確かめる数字はその経路の新規客数 |
| キャンセルを減らす | 前日のリマインドを、すべての予約に送る。確かめる数字は当日キャンセルと無断キャンセルの件数 |
| 稼働率を上げる | 予約の少ない曜日のシフトを見直し、予約の多い曜日に回す。確かめる数字は稼働率 |
決めた打ち手は、次のような記録表に残します。表計算ソフトや共有の文書で1つの表にし、会議のたびに同じ表へ書き足していくと、店ごとに何を試してきたかが後から分かります。
| 項目 | 書くこと |
|---|---|
| 決めた月・店 | 例:○月・○○店 |
| 課題の数字 | 気になった数字と、そのときの値 |
| 打ち手 | 何をするか(1つ) |
| 担当 | 店長か、店のスタッフの誰か |
| 始める日 | いつから行うか |
| 確かめる数字と見る月 | どの数字を、いつの会議で確かめるか |
| 結果 | やったか、数字はどう動いたか |
| 判定 | 続ける・変える・やめる |
| ほかの要因 | スタッフの退職、季節、近くの競合など、数字に影響したと思われること |
記録表に「ほかの要因」の欄を設けておくと、数字の動きを打ち手だけの成果と思い込むことを防げます。
翌月の会議で、打ち手の結果を確かめる
翌月の会議では、まず「打ち手をやったか」を確かめ、次に数字を見ます。この順番が大切です。数字が動かなかったとき、打ち手そのものが合わなかったのか、打ち手をやれなかったのかで、次にすることが変わるからです。
やれなかった場合は、理由を聞きます。人手が足りない、手順が決まっていない、スタッフに伝わっていないなど、理由によって本部が手を貸せることがあります。打ち手をやったのに数字が動かない場合は、1か月で判断するには早いこともあります。人数の少ない数字は、2〜3か月続けてから判定します。
判定は「続ける」「変える」「やめる」の3つで記録表に残します。やめた打ち手も消さずに残しておくと、同じことを別の店で繰り返さずに済みます。数字が良くなった打ち手は、その店長に手順を話してもらい、ほかの店でも試すかどうかを会議で決めます。
店長が発言しやすい会議にするには
全店の比較表を見せると、数字の低い店長は責められると感じがちです。比較表は、どの店に本部が手を貸すかを決めるための材料だと、最初に伝えておきます。数字の順位を発表したり、数字の低い店長だけを長く問い詰めたりすると、店長は数字を隠したり、数え方を都合よく変えたりするようになります。
発言を増やすには、次のような工夫があります。
- 会議の前に、店長のシートに本部がひと言返しておく
- 数字の良い店の店長に、「何をしたか」を手順として話してもらう
- 話し合いの時間には、本部より先に店長どうしで案を出してもらう
- 本部からの連絡は資料で前もって配り、会議では質問を受ける時間にする
数字を店長やスタッフの評価や給与に結びつけるかどうかは、会議とは別に決めておきます。評価に使う場合の注意は、美容室の評価制度の作り方で説明しています。
会議をオンラインで開く場合も、進め方は同じです。比較表と記録表を画面で共有し、シートは前もって提出してもらいます。顔を合わせない分、司会が店長を名指しで順に話してもらうと、発言の偏りを防げます。
FC の加盟店が参加する場合
フランチャイズ(FC)の加盟店は、本部とは別の事業者です。直営店と同じように打ち手を指示したり、数字を見せ合ったりしてよいとは限りません。どの数字を本部が見られるか、比較表で店名を出すかどうかは、契約の内容と合わせて決めておきます。全店でそろえるものと加盟店に任せるものの分け方は、フランチャイズ本部の運営で説明しています。本部と加盟店の関係にかかわる法令の扱いは、弁護士などの専門家に相談してください。
Leporto で店長会議の数字をそろえるには
店長会議でいちばん手間がかかるのは、全店の数字を同じ定義で集めることです。Leporto は予約・顧客・カルテ・会計の記録から数字を出すので、店ごとに手で集計し直す必要がありません。多店舗の管理画面や本部では、店舗と同じ分析を見られるうえ、店舗をまたいだ集計もできます。店長には、子管理者として担当の店舗だけにログインしてもらうこともできます。
管理画面の「アナリティクス」では、新規と既存ごとの予約件数や次回予約率、実リピート率(決めた日数のうちに実際に再来した割合)を月ごとに見られます。来店のきっかけ別に、新規客数と再来率を見ることもできます。

店長のシートに書く「スタッフ別の数字」は、ダッシュボードのスタッフ別レポートで見られます。スタッフ別の次回予約率は、店で決めた目標値と比べられ、目標を下回った項目が表示されます。スタッフ別の客単価も分析で見られます。

稼働率は、施術の時間(予約のメニューの所要時間と、会計で追加した施術の時間の合計)をシフトの出勤予定時間で割った値で、月ごとに店全体とスタッフ別で見られます。今月から2か月先までの予測もあります。

このほか、LTV(実績と予測)、当日キャンセルと無断キャンセルを分けた件数を見られます。Google・Meta・TikTok・LINE・Yahoo の広告をつなぐと、媒体ごとの費用・CPA・新規予約数も分かります。スタンダードプランからは、店の数字を基準と比べて、まず試すことを1つ出す「店舗改善アドバイス」も使えます。会議で決める打ち手の候補を考えるときの材料になります。くわしくはLeporto の分析機能をご覧ください。
20〜30店舗以上のチェーンや FC 本部向けには、FC 本部機能があります。店舗をグループに分けたり、本部から店舗へメニューの型を配ったりできるので、全店で同じメニューと同じ数字の定義を保ちやすくなります。多店舗での使い方は多店舗・FC 本部の機能にまとめています。
なお、ライトプランでは分析や広告の取り込みなど、経営改善のための機能は使えません。店長会議で全店の数字を見る使い方には、スタンダードプラン以上が合います。この記事の打ち手の記録表は、Leporto の画面とは別に、表計算ソフトや共有の文書で持つ形を想定しています。
参考にした公的機関の資料
2026年10月18日に参照しました。
- 独立行政法人 中小企業基盤整備機構 J-Net21「会議時に出席者の発言が少なく、困っています。どのようにすれば良いか、教えてください。」 https://j-net21.smrj.go.jp/qa/org/Q0624.html
よくある質問
店長会議は、どのくらいの頻度と時間で開けばよいですか
決まりはありませんが、全店の数字を振り返って打ち手を決める会議は、月に1回が組みやすい間隔です。この記事では60分を例にしました。今月の進み具合や困りごとの確認は、毎週の短い連絡で済ませ、月1回の会議は決めることに時間を使うと、会議が長くなりにくくなります。
店長会議の資料は、何を用意すればよいですか
本部が用意する全店の比較表と、店長が持ってくる1枚のシートの2つです。比較表は全店で同じ定義の数字を並べ、シートには先月の数字、先月の打ち手と結果、いちばん気になる数字、今月の打ち手の案を書いてもらいます。どちらも会議の数日前に集め、本部が先に目を通しておきます。
店舗が多くて、全店の話をする時間が足りません
すべての店を同じ時間ずつ取り上げる必要はありません。数字が大きく動いた店や、本部が手を貸したい店を前もって選び、ほかの店はシートと記録表の更新で済ませます。エリアごとに会議を分け、全体の会議では各エリアの要点だけを共有する方法もあります。
数字の悪い店長を責める雰囲気にならないようにするには、どうすればよいですか
比較表は、本部が手を貸す店を決めるための材料だと最初に伝え、順位の発表はしないようにします。数字の良い店の店長に手順を話してもらい、ほかの店が取り入れる場にすると、数字の低い店長も話しやすくなります。会議の前にシートへ本部がひと言返しておくのも一つの方法です。
打ち手の効果は、何か月で判断すればよいですか
1か月で判断できることもありますが、新規客数が少ない店では、1人の違いで割合が大きく動きます。人数の少ない数字は2〜3か月続けてから、「続ける」「変える」「やめる」を決めるのが安全です。前の年の同じ月と比べると、季節による動きと分けて見られます。
