美容室のリピート率の計算方法と上げ方:新規・既存を分けた計算表と、離れる場所の見つけ方

スタッフルームのコルクボードに来店ごとの色のカードが月ごとに並び、途切れた列に店主が付箋を貼っている様子

美容室のリピート率は、「ある月の新規客のうち、初回から決めた日数以内に2回目の来店があった人の割合」で計算するのが基本です。新規客と既存客は分けて計算し、「何日以内に来たら再来とするか」を先に決めておきます。この2つを決めずに出した数字は、月ごとや店ごとに比べられません。以下では、計算式と手順、定義の決め方で数字がどれだけ変わるか、月ごとの新規を追う計算表、来店のきっかけ別の見方、離れる場所ごとの改善策の順に説明します。

美容室のリピート率とは

リピート率は、来店したお客様のうち、もう一度来店した人の割合です。美容室では主に「新規客が2回目に来たか」を見る数字として使われます。初回の来店は集客の結果ですが、2回目に来るかどうかは、仕上がりや接客、次回の提案など、店の中で起きたことの結果です。そのため、リピート率は店の中の改善点を探すときの出発点になります。リピート率と一緒に毎月見るほかの経営の数字は、美容室経営・サロン経営の基本で一覧にしています。

リピート率とリピーター率の違い

よく似た言葉に「リピーター率」があります。リピーター率は、ある期間の来店客全体のうち、2回目以降の人が占める割合です。

指標分母分子読み取れること
リピート率(新規の再来率)ある月の新規客数そのうち決めた日数以内に2回目に来た人数新規客がどれだけ定着したか
リピーター率ある期間の来店客数そのうち2回目以降の人数来店客の中の常連の割合

リピーター率は、新規客が減っただけでも上がります。たとえば常連のお客様の数が変わらず、新規客だけが減った月は、リピーター率が上がって見えます。店の状態が良くなったとは限りません。改善の効果を確かめるには、リピート率のほうが向いています。

リピート率の計算式

新規客のリピート率

新規客のリピート率は、次の式で計算します。

新規のリピート率 = 対象の月の新規客のうち、初回から○日以内に2回目の来店があった人数 ÷ 対象の月の新規客数 × 100

分母と分子に同じ人たちを入れるのがポイントです。「4月の新規客」を分母にしたら、分子も「4月の新規客のうち2回目に来た人」だけを数えます。5月に来た別の人の再来を混ぜると、何の割合か分からなくなります。

既存客のリピート率

既存客(2回目以降のお客様)も同じ考え方で計算できます。

既存のリピート率 = 対象の月に来店した既存客のうち、○日以内に次の来店があった人数 ÷ 対象の月に来店した既存客の人数 × 100

既存客は来店の周期がおおむね決まっているため、新規客より高い数字になることが多いでしょう。新規と既存を合わせて1つの数字にすると、新規客が多い月ほど全体の数字が下がり、店の中で何が起きたのかが読めなくなります。必ず分けて計算しましょう。

計算の前に決めておく4つのこと

決めること決め方の例決めないと起きること
再来とみなす日数60日、90日など、店の主なメニューの来店周期に合わせる月ごとに数え方が変わり、比べられない
新規客の定義初回来店日がその月にある人。長く空いてから戻った人は新規に入れない休眠から戻った人で新規が膨らむ
数える来店施術を受けて会計した来店だけ。予約だけ・キャンセル・店販のみは数えない来店していない予約で数字が上がる
人の見分け方顧客台帳の電話番号などで同じ人を1人にまとめる同じ人を新規として二重に登録してしまう

日数は、カットが中心の店とカラーやパーマが中心の店で適した長さが変わります。迷う場合は、60日と90日の両方を出しておき、比べる相手を同じ日数にそろえれば十分です。

定義の決め方で数字はこれだけ変わる

ここからの数字は、計算の流れを示すために作った仮の数字です。実在の店舗の実績でも、目安でもありません。

たとえば4月に新規客が40人来た店で、40人の2回目の来店を数えたとします。同じ40人でも、決め方によってリピート率は次のように変わります。

決め方2回目に来た人数計算リピート率
4月のうちに2回目に来た2人2÷405.0%
初回から30日以内3人3÷407.5%
初回から60日以内14人14÷4035.0%
初回から90日以内18人18÷4045.0%
初回から180日以内22人22÷4055.0%

「同じ月のうちに2回目」で数えると、来店周期が1か月を超える美容室ではほとんど0に近くなります。一般向けの解説には「期間内に2回以上購入した割合」と書かれているものもありますが、通販などを前提にした数え方です。サロンでは、初回の日から数える日数で決めたほうが、実際の来店の間隔に合います。

数える人や来店を変えた場合も、数字は動きます。上の90日以内の例で、1年以上空いてから戻ったお客様5人を新規に入れ、そのうち4人が90日以内に再来していたとします。この場合は(18+4)÷(40+5)で約48.9%になり、新規の定着が良くなったように見えます。また、来店ではなく「90日以内に2回目の予約が入った人」を数え、その中に来店前にキャンセルした2人が含まれていれば、20÷40で50.0%になります。

他の店や記事に出てくる数字と比べるときも、こうした定義がそろっているかを確かめる必要があります。定義が分からない数字とは、比べないほうが安全です。

計算の手順と計算表のひな形

手で計算する場合は、次の順に進めます。

  1. 顧客台帳から、初回来店日が対象の月にある人を抜き出す(同じ人が二重に登録されていないか確かめる)
  2. 一人ひとりについて、2回目の来店日を書き込む(来ていなければ空欄)
  3. 初回来店日から2回目までの日数を出す(エクセルなら =C2-B2 のように日付を引き算する)
  4. 30日・60日・90日以内の人数を数える
  5. 新規客数で割り、確定した日数の欄だけを表に書く

次の図は、この 5 つの手順を順に並べたものです。

新規のリピート率を手で計算する 5 つの手順の図。1 顧客台帳から初回来店日が対象の月にある人を抜き出し、二重の登録がないか確かめる。2 一人ひとりの 2 回目の来店日を書き込む。3 初回から 2 回目までの日数を出す。4 30 日・60 日・90 日以内の人数を数える。5 新規客数で割り、確定した日数の欄だけを表に書く。

顧客ごとの表は、次の列で作ると数えやすくなります。

列見出し入れるもの
Aお客様番号顧客台帳の番号
B初回来店日2026/4/12 など
C2回目の来店日来ていなければ空欄
D日数=IF(C2="","",C2-B2)
E来店のきっかけホットペッパー、紹介、Instagram など
F初回の担当スタッフ名
G初回のメニューカット、カラーなど

60日以内の人数は =COUNTIFS(D:D,"<=60") で数えられます。E列からG列は、後で「どこで離れているか」を調べるために置く列です。最初から全部そろわなくても構いませんが、来店のきっかけだけは初回の会計のときに聞いておくと、後から分析しやすくなります。

月ごとの新規客を並べて追う(コホートの見方)

新規客のリピート率は、その月のうちには確定しません。たとえば90日以内で数える場合、4月30日に来た人の結果が分かるのは7月の終わりです。そこで「何月の新規客か」を行にして、日数ごとの結果を確定した順に埋めていく表を作ります。同じ時期に始めたお客様の集まりを追う見方で、コホート分析とも呼ばれます。

次の表は、10月末の時点で埋めた例です(仮の数字です)。

新規の月新規客数30日以内60日以内90日以内
4月403人(7.5%)14人(35.0%)18人(45.0%)
5月324人(12.5%)12人(37.5%)15人(46.9%)
6月453人(6.7%)13人(28.9%)17人(37.8%)
7月382人(5.3%)10人(26.3%)13人(34.2%)
8月504人(8.0%)14人(28.0%)未確定
9月363人(8.3%)未確定未確定

この表では、6月以降の新規客の60日以内の数字が、4月・5月より下がっています。8月の90日以内の数字が出るのを待たなくても、60日の列で変化に気づけます。次に確かめるのは、6月ごろに何が変わったかです。新しいクーポンを出した、担当するスタッフが変わった、掲載する媒体を増やしたなど、表の横にメモの列を置いて記録しておくと、原因を探しやすくなります。値上げをした月もメモに残しておくと、前後の来店の変化を比べられます。

どこで離れているかを段階に分けて見る

リピート率が低いと分かっても、どこで離れているかが分からなければ、手の打ちようがありません。新規客が2回目、3回目、4回目と進む中で、それぞれの段階で何人が残ったかを数えてみます。

段階人数前の段階から進んだ割合
初回(4月の新規)40人—
2回目まで来た22人55.0%(22÷40)
3回目まで来た15人68.2%(15÷22)
4回目まで来た12人80.0%(12÷15)

この例(仮の数字、初回から180日以内で集計)では、いちばん多くの人が離れているのは初回から2回目の間です。3回目以降は、進む割合が上がっています。どの段階で多く離れるかは店によって違うため、自店の数字で確かめてください。3回目で大きく落ちる店なら、2回目の割引だけで来ていたお客様が多い可能性もあります。

既存客の離脱も別に見ておきます。前回の来店から、いつもの周期を大きく過ぎても来ていない人の数です。新規の段階の表と、既存客の離脱の数を並べると、手を打つ場所の優先順位を決めやすくなります。

来店のきっかけ別に再来率を比べる

同じ店でも、どの経路で来た新規客かによって、2回目に来る割合が違うことがあります。新規客の人数だけで経路を評価すると、人は多く来るのに定着しにくい経路に、広告費をかけ続けることになりかねません。

次の表は、上のコホートの例のうち、4月から6月の新規客117人を来店のきっかけ別に分けたものです(仮の数字、90日以内)。

来店のきっかけ新規客数90日以内に2回目再来率
ホットペッパー60人21人35.0%
Instagram22人9人40.9%
紹介15人10人66.7%
Googleマップ12人6人50.0%
看板・通りがかり8人4人50.0%
合計117人50人42.7%

この表を読むときは、人数の少ない経路に注意が必要です。8人中4人と8人中5人では、1人の違いで12.5ポイント動きます。人数が少ない経路は、3か月や半年分をまとめてから判断しましょう。

経路ごとの再来率が分かると、新規客1人を集めるのにかかった費用を、2回目以降の売上まで含めて評価できます。掲載料を新規客1人あたりで割る計算は、ホットペッパーの掲載料と、続けるかの判断で説明しています。来店のきっかけの集め方は、美容室の集客:集客経路の数え方を参考にしてください。リピート率を含めて毎月見る数字の表は、売上管理の始め方で紹介しています。

美容室のリピート率の平均は

美容室のリピート率の平均として、「新規客は約30%、既存客は約70%(90日以内)」という数字が、業界向けのWebメディアやセミナーの案内などで紹介されています。ただし、これらは調査の方法や対象の店、定義が示されていないものが多く、国や業界団体の公式の統計ではありません。

前の章で見たとおり、リピート率は日数や新規の定義で大きく変わります。定義の分からない平均と自店の数字を比べるより、自店の数字を同じ定義で毎月並べ、前の月や前の年と比べるほうが、改善の手がかりになります。

リピート率を上げる方法:離れる場所ごとの打ち手

リピート率を上げる施策は、離れている場所によって変わります。全体の数字だけを見て施策を選ぶのではなく、前の章までの表で離れている場所を見つけてから選びましょう。

離れる場所確かめること打ち手の例
初回→2回目初回の担当とメニュー、カウンセリングの記録、次回の提案をしたか初回のカウンセリングで要望と悩みを記録する。仕上がりの持ちと次に来る目安の時期を伝える。会計時に次回予約を提案する
2回目→3回目2回目の割引の有無、担当が変わったか担当をなるべく変えない。前回のカルテを見て、前回の要望を引き継いで施術する
既存客の来店間隔が延びる最終来店からいつもの周期を過ぎた人の一覧周期を過ぎた人に来店の案内を送る。季節に合うメニューを提案する
特定の来店のきっかけだけ低い経路の客層と、メニュー・価格・クーポンの合い方掲載するクーポンや写真が、店の得意な施術と合っているかを見直す
特定のスタッフだけ低い担当した新規客の経路やメニューの偏り責める材料にせず、カウンセリングや提案の流れを店全体で共有する

初回のカウンセリングで聞いておく項目は、カウンセリングシートの項目例にまとめています。周期を過ぎた方に送る来店の案内の文面は、サロンの LINE 配信の例文を参考にしてください。

初回から2回目で離れている店では、会計時の次回予約の提案が最初に見直す点になることが多いでしょう。提案の声かけの例と、提案がどれだけ予約につながったかを測る方法は、次回予約率の計算と取り方で紹介しています。

2回目の来店を割引で促す方法もありますが、割引がなくなる3回目で落ちることがあります。割引を使う場合は、前の章の段階の表で3回目まで進む割合も合わせて確かめましょう。

スタッフ別に計算するときの注意

スタッフが複数いる店では、初回の担当ごとにリピート率を分けると、どこを直せばよいかが見えやすくなります。ただし、スタッフ別の数字は次の点に気をつけて扱います。

担当する新規客の人数が少ないと、数字が大きく揺れます。また、ホットペッパーから来る新規客を多く担当するスタッフと、紹介の新規客を多く担当するスタッフでは、前の章の表のように数字に差が出やすくなります。スタッフ別の数字は、担当した新規客の経路やメニューの内訳と並べて読み、評価や順位付けだけに使わないようにしましょう。

表計算ソフトで続けるか、システムで見るか

新規客が月に数十人までなら、この記事の表は表計算ソフトで十分に作れます。手間がかかるのは、一人ひとりの2回目の来店日を顧客台帳から探して書き込む作業と、確定した欄を毎月埋めていく作業です。来店のきっかけやスタッフ別に分けるほど、表は増えていきます。

予約と顧客の記録が同じ仕組みにまとまっていれば、こうした数字は来店の記録から集計できます。Leporto は、予約・顧客・カルテと、売上や集客の分析を一つにまとめた予約管理システムです。管理画面の「アナリティクス」では、来店のきっかけ別に新規客数と再来率を見られます。見られる数字の一覧は、売上・集客の分析の機能ページで紹介しています。美容室で予約やカルテとあわせて再来の数字をどう見るかは、美容室向けの予約システムのページで説明しています。

よくある質問

リピート率は何日以内で数えればよいですか

決まった日数はありません。店の主なメニューの来店周期より少し長めに取るのが一般的な考え方です。迷う場合は60日と90日の両方を出し、比べるときは同じ日数どうしで比べましょう。

新規客が少ない月は、リピート率を出す意味がありますか

1か月の新規客が10人前後だと、1人の違いで10ポイント近く動きます。数字の上下を気にしすぎず、3か月分をまとめて計算すると傾向を読み取りやすくなります。

1年ぶりに来たお客様は新規ですか

新規には入れず、既存客として数えます。ただし、こうした休眠から戻った人を別に数えておくと、案内の送付などの効果を確かめるときに役立ちます。どちらで数えるかを決めて、途中で変えないことが大切です。

次回予約率とリピート率はどう違いますか

次回予約率は、会計のときなどに次の予約が入った割合で、来店の直後に分かる数字です。リピート率は、実際に2回目の来店があったかを、決めた日数が過ぎてから確かめる数字です。次回予約が入っても来店前にキャンセルされることがあるため、両方を並べて見ると、提案と定着の両方を確かめられます。

リピート率の目標は何%にすればよいですか

定義によって数字が大きく変わるため、他の店の数字をそのまま目標にするのはおすすめしません。まず自店の数字を同じ定義で3〜6か月分並べ、その平均より少し高い数字を目標にすると、根拠のある目標になります。