整体の通院計画の説明とセルフケア指導:整体院・整骨院で再来院が「続く理由」をつくる

施術ベッドの横の机に置かれた、週ごとの枠だけの通院計画の用紙とペン、丸めたタオル

整体のリピート率を上げるには、お客様が「なぜ、いつまで、いくらで通うのか」を納得できる通院計画の説明と、来院の間の過ごし方を伝えるセルフケア指導が欠かせません。次回予約や回数券は、その説明に納得してもらった後に、お客様が選べるものとして示します。順番を逆にすると押し売りに感じられ、かえって来院が途切れやすくなるからです。この記事では、通院計画の説明のしかたと説明シートのひな形、避けたい言い方、回数券と次回予約の勧め方、セルフケア指導、1人整骨院・1人整体院の売上の見方の順に説明します。

整体院・整骨院のリピート率は「続ける理由」が伝わったかで決まる

整体院や整骨院では、お客様が2回目以降も来るかどうかは、施術の内容だけでなく、通う理由と見通しが伝わったかに左右されます。お客様の側から見ると、体の悩みで来院したものの、あと何回通えばよいのか、総額でいくらかかるのかが分からない状態は不安です。

お客様の側の不安は、検索される語にも表れています。「整体 次の予約 断り方」「整体 回数券 買わされる」といった語が調べられており、次の予約や回数券を、断りにくいまま勧められたと感じた人がいることがうかがえます。院の側から見れば、勧め方を誤ると信頼を失い、紹介や口コミにも響きます。

なお、リピート率の計算のしかた(何日以内の再来を数えるか、新規と既存を分けるかなど)は、別の記事にまとめています。整体院でも考え方は同じなので、この記事では計算式は繰り返さず、数字を動かす接客の側を扱います。

来院が続かない理由を分けて考える

来院が途切れる理由は一つではありません。理由ごとに、院で確かめることと打つ手が違います。次の表で、自院で当てはまりそうなものを確かめてください。

続かない理由(お客様の側)院で確かめること打つ手の例
いつまで通えばよいか分からない初回に、期間と見直しの時点を伝えたか通院計画を紙に書いて渡す
総額が見えず、費用が不安1回の料金だけでなく、計画全体の費用を伝えたか計画の回数分の費用の見通しを書く
押し売りに感じた次回予約や回数券を、断れる聞き方で勧めたか選択肢を示し、その日に決めなくてよいと伝える
来院の間に何をすればよいか分からない施術後に、家での過ごし方を伝えたかセルフケアのメモを渡す
予約が取りにくい希望の曜日・時間帯に空きがあるか予約の受け方と空き枠を見直す
来院の目的がかなった目的と終える目安を初回に決めたか終える判断を一緒にし、必要なときの連絡先を伝える

最後の行のように、目的がかなって来院が終わるのは、悪いことではありません。終えるときの対応が丁寧であれば、また別の悩みが出たときに思い出してもらえます。リピート率の数字だけを追って、目的を終えたお客様まで引き止めようとすると、上の表の「押し売りに感じた」に戻ってしまいます。

通院計画の説明のしかた:4 つの段階

通院計画は、お客様と院が同じ見通しを持つための約束です。説明は、次の4つの段階に分けると漏れが出にくくなります。

  1. 初回に、来院の目的と「どうなったら通うのをやめるか」を聞く
  2. 計画として、期間・間隔・費用の総額の見通しを紙に書いて渡す
  3. 決めた見直しの時点(回数や日付)で、目的に照らして一緒に振り返る
  4. 振り返りをもとに、間隔を広げる・終える・医療機関の受診を勧めるのどれかを決める

次の図は、この4つの段階を順に並べたものです。

通院計画の説明を 4 つの段階に分けた図。1 は初回に、来院の目的と、どうなったら通うのをやめるかを聞く。2 は計画を伝え、期間・間隔・費用の総額の見通しを紙に書いて渡す。3 は決めた見直しの時点で、目的に照らして一緒に振り返る。4 は振り返りをもとに、間隔を広げる、終える、医療機関の受診を勧めるのどれかを決める。

2の段階では、「見直しの時点」を必ず決めてください。「しばらく通ってください」では、お客様は終わりが見えません。「4回目に一度、最初に伺った目的に照らして振り返りましょう」と決めておけば、通う理由と、やめる判断の機会の両方が伝わります。

通院計画の説明シート(ひな形)

説明は口頭だけでなく、紙かデータで渡します。お客様が家族に相談するときにも使えます。次の項目を入れたひな形を、自院の言葉に直して使ってください。

項目書く内容書くときの注意
来院の目的お客様の言葉で(例:デスクワークの後の疲れを相談したい)院の見立てではなく、お客様が望むことを書く
計画の期間と間隔例:最初の4回は週1回、その後は様子を見て決める「必ず○回で」と約束する書き方にしない
見直しの時点例:4回目の来院時日付か回数のどちらかで決める
費用の見通し1回の料金×計画の回数、回数券を使う場合の差額税込・税抜をそろえ、回数券は選択肢として書く
来院の間にすることセルフケアの内容無理をしない範囲であることを添える
受診を勧める場合例:痛みが強くなった、しびれが出た当てはまるときは医療機関へ、と書く
やめたいとき予約の変更・取り消しの方法いつでも相談してよいと書く

「来院の目的」の欄には、「治す」「改善する」といった施術の成果を書かないようにします。整体は医療ではなく、成果を約束できるものではありません。書くのは、お客様が相談したいことと、院がそのために行う計画までにとどめます。

整骨院で健康保険を使う施術がある場合

整骨院・接骨院で健康保険を使う施術を行っている場合は、保険を使う施術と自費の施術を分けて計画を説明します。協会けんぽ青森支部の案内では、健康保険が使えるのは外傷性の打撲・捻挫・挫傷、骨折・脱臼などで、単なる肩こりや筋肉疲労、症状の改善が見られない長期の治療などは対象外とされています。江東区の案内にも、施術が長期にわたる場合は医師の診察を受けましょう、という呼びかけがあります。

通院計画に「長く通うほど良い」と受け取れる書き方をしないこと、見直しの時点で医療機関の受診を勧める選択肢を入れておくことは、こうした案内とも合っています。保険の取り扱いの細かな判断は、加入する団体や保険者の案内を確かめ、詳しくは専門家に相談してください。

言わないほうがよい説明と、言い換えの例

施術の効果を断定する言い方は、信頼を損なうだけでなく、表示のきまりにも関わります。消費者庁の「不実証広告規制」のページによると、景品表示法では、消費者庁長官が、効果・性能の表示について合理的な根拠を示す資料の提出を事業者に求めることができます。期間内に資料が出されない場合や、資料が根拠と認められない場合、その表示は措置命令との関係では不当表示とみなされます。チラシ、Webページ、院内の掲示、LINEの配信などで効果を書くときは、特に注意が必要です。

また、柔道整復やあん摩マッサージ指圧・はり・きゅうの施術所は、広告できる事項が法律で限られており、厚生労働省が「あはき・柔整広告ガイドライン」を出しています。相談先は、施術所の所在地を管轄する自治体の窓口と案内されています。どの言い方が問題になるかの判断は個別の事情によるため、詳しくは専門家や自治体の窓口に確かめてください。

接客の場面では、次のような言い換えを目安にします。

避けたい言い方言い換えの例
「あと10回通えば治ります」「まず4回通っていただいて、4回目に一緒に振り返りましょう」
「今やめると悪くなりますよ」「間隔を空けたい場合は、その間のセルフケアをお伝えしますね」
「回数券を買わないと続きません」「1回ずつでも、回数券でも通えます。費用の違いはこちらです」
「今日決めないとこの価格は終わります」(事実でない場合)「お家で考えていただいて大丈夫です。説明の紙をお渡ししますね」
「みなさん○回で良くなっています」「計画は、毎回お体の様子を伺いながら見直します」

言い換えの共通点は、成果を約束しないこと、断る余地を残すこと、判断の材料を紙で渡すことです。

回数券は説明の後に「選べるもの」として示す

回数券は、通院計画に納得してもらった後に、1回ずつ払う方法と並べて示します。計画の説明と同じ流れで勧めると、計画そのものが回数券を売るための話に聞こえてしまうためです。

勧めるときは、割安になる点だけでなく、有効期限、払い戻し、通えなくなったときの扱いもあわせて伝えます。その日のうちに決めてもらう必要はありません。払い方の選択肢を増やすのも一つの方法です。たとえば Leporto では、コースごとに消化する回数を決めた回数券を用意したり、月ごとに払うサブスク(分割払い)で購入してもらったりできます。1回ずつ払う方法と並べて示すと、お客様が自分の通い方に合う払い方を選びやすくなります。回数券の残り回数・期限・前受金の管理と、販売前に決めておく決まりは、回数券の管理方法で詳しく扱っています。

回数券を買ったお客様には、来院のたびに残り回数と期限を伝えます。見直しの時点で計画を短くした場合や、目的がかなって終える場合に、残りをどう扱うかも、購入のときに決めておくと揉めにくくなります。

次回予約は断りやすさを残して聞く

次回予約は、施術中に次の時期の目安と理由を伝えておき、会計のときに日にちを一緒に決める流れにすると、押し売りに聞こえにくくなります。整体院であれば、たとえば次のように伝えます。

「計画では次は1週間後です。来週の同じ曜日に空きがありますが、ご予定はいかがですか。分からなければ、帰ってからLINEで入れていただいても大丈夫です」

断られたら、同じ日に何度も勧めず、目安の時期と予約の方法を伝えて終えます。カルテに「次回の目安」と「断った理由」を残しておくと、次の連絡や来院のときの声かけを変えられます。会計時の声かけの例文や、断られたときの対応は、次回予約率の計算方法と取り方で紹介しました。

セルフケア指導で来院の間をつなぐ

セルフケア指導は、来院の間をお客様が一人で過ごすための手助けです。日常の過ごし方を一緒に考えるものと位置づけ、施術の続きを家で求める形にはしません。来院の間に何をすればよいかが分かると、お客様は次の来院を「様子を確かめる機会」として受け止めやすくなります。指導した内容は、次の来院で振り返れるようにカルテへ残しておきます(残す項目は「整体院・鍼灸院の顧客管理」を参照)。

指導の内容を決めるときは、次の点を確かめてください。

  • 内容を1〜2個に絞り、紙かメッセージで渡す
  • 「痛みが出たらやめる」など、無理をしない条件を添える
  • 痛みが強くなった、しびれが出たなど、受診を勧める場合を伝える
  • 次の来院で「できたか」「やってみてどうだったか」を聞き、カルテに残す
  • 効果を約束する言い方をしない

体を動かす習慣の一般的な考え方は、厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」にまとめられています。お客様に一般的な情報を伝えるときの参考になります。ただし、持病のある方や、体の状態に不安がある方には、医師に相談するよう勧めてください。

渡す手段は、紙でもLINEでも構いません。来院した日のうちにお礼のメッセージを送り、その日にお伝えしたセルフケアを短く添えると、お客様が家で見返せます。LINEで送る文面の例は、サロンのLINE配信 例文を参考にしてください。

1人整骨院・1人整体院の売上は「再来」の比重が大きい

1人で営む整骨院や整体院の売上は、ざっくり言えば「来院の件数×1回あたりの単価」です。来院の件数は、新しく来た人と、再び来た人に分けられます。1人の院では、施術の時間を増やすほど、集客の発信や新しいお客様の対応に使える時間が減ります。そのため、売上の見通しを立てるうえでは、一度来たお客様が計画どおりに通えているかが大きな意味を持ちます。

単価を上げることや、回数券の販売数を増やすことだけを目標にすると、前の節までで見た押し売りの不安を招きかねません。毎月は、次の数字を並べて見るのがおすすめです。

見る数字分かること関連する記事
新規の来院数(来院のきっかけ別)どの経路から人が来ているか—
新規の再来率(来院のきっかけ別)初回の説明が伝わっているかリピート率の計算
次回予約率計画の説明の後に予約が入っているか次回予約率
見直しの時点まで通えた人の割合計画が無理のないものになっているか—
1回あたりの単価料金とメニューの構成—

「見直しの時点まで通えた人の割合」は、通院計画を紙で渡していれば、カルテから数えられます。この割合が低いときは、計画の期間や間隔、費用の見通しが、お客様の生活に合っていない可能性があります。

経営の数字全体の見方は、美容室経営・サロン経営の基本でも扱っています。業種は違いますが、客数・単価・来店の頻度に分けて考える方法は整体院でも使えます。

予約システムで数字を見る場合

紙や表計算で数えるのが負担になったら、予約システムの分析を使う方法もあります。たとえば Leporto では、管理画面の「アナリティクス」で、来院のきっかけ別に新規の人数と再来率を見られます。次回予約率や、スタッフを雇っている院であればスタッフ別の客単価も分析で確かめられ、来院後のお礼のメッセージはLINEで送れます。分析で見られる項目は、Leporto のアナリティクスで紹介しています。

この記事で扱った回数券と次回予約を、同じお客様の記録で管理する運用は、整体院向けの予約システムのページで紹介しています。

参考にした公的機関の資料

いずれも2026年10月18日に参照しました。

よくある質問

整体院のリピート率の目安はどのくらいですか

整体院のリピート率について、定義をそろえて集計した公的な統計は、2026年10月時点で見当たりませんでした。民間の調査や記事で示される数字は、何日以内の再来を数えるかなどの定義が違うため、そのまま比べられません。まず自院で定義を決め、毎月同じ方法で数えて推移を見るのが確実です。

通院計画で「何回で良くなるか」と聞かれたら、どう答えればよいですか

回数と成果を結びつけて約束することは避けます。「まず4回通っていただき、4回目に一緒に振り返りましょう」のように、見直しの時点を示して答えると、お客様は見通しを持てます。体の状態によっては医療機関の受診を勧めることも、あわせて伝えておくと安心です。

回数券を勧めないと、売上が下がりませんか

回数券は前払いのため、売上を先に受け取れる面はありますが、来院の件数そのものを増やすわけではありません。押し売りと受け取られて来院が途切れれば、かえって売上の見通しが立たなくなります。1回ずつ払う方法と並べて示し、お客様が選べるようにしておくほうが、長く通ってもらいやすいと考えられます。

セルフケアを教えると、来院が減りませんか

セルフケアは、来院の代わりではなく、来院の間を過ごすための手助けとして伝えます。次の来院で「やってみてどうだったか」を伺えば、来院が様子を確かめる機会になります。目的がかなって来院を終える人が出るのは、計画どおりに進んだ結果として受け止めてよいでしょう。