整体院・鍼灸院の顧客管理:問診票・カルテに残す項目と再来につなぐ使い方

施術院の受付の机で、問診票を挟んだクリップボードに記入する手元と、予約表が映るタブレット、奥の施術ベッド

整体院・鍼灸院の顧客管理は、顧客台帳・問診票・カルテの3つを、1人のお客様の記録としてまとめることから始めます。問診では、つらいところに加えて、既往歴・服用中の薬・医療機関での治療の有無・ふだんの動作を聞いておきます。病歴や服薬は「要配慮個人情報」にあたる場合があるため、同意の取り方と保管のルールを先に決めておくと安心です。この記事では、問診で聞く項目の表、個人情報の扱いの確認表、紙・Excel・システムの比べ方、記録を再来につなぐ流れを順に説明します。

整体院の顧客管理で扱う3つの記録

整体院や鍼灸院でいう「顧客管理」には、性質の違う記録が混ざっています。まず、何をどこに書くのかを分けておくと、紙からシステムに移すときも迷いません。

記録書く内容書く人・時期主な使い道
顧客台帳氏名、連絡先、生年月日、来院のきっかけ、来院日の履歴、案内の可否受付が初回の予約時に作り、来院のたびに更新予約の確認、間が空いた方への連絡、来院のきっかけの集計
問診票主な訴え、既往歴、服用中の薬、医療機関での治療の有無、生活の動作、同意欄お客様ご本人が初回に記入。内容が変わったら書き直し施術の可否や強さの判断、受診を勧めるかの判断
カルテ(施術の記録)当日の状態、行った施術、施術後の様子、次回の目安、注意事項施術者が毎回、施術の直後に記入経過の確認、担当が変わったときの引き継ぎ、次回の提案
施術録(療養費を扱う場合)国の通知で決められた記載事項柔道整復師・あはき師が、療養費の対象となる施術ごとに記入療養費の申請と、保険者からの照会への対応

最後の施術録は、健康保険の療養費を扱う整骨院・接骨院や、はり・きゅう・あん摩マッサージ指圧の療養費を扱う院で必要になる記録です。記載事項や保存の決まりは厚生労働省の通知で定められているため、顧客管理の記録とは分けて考えます。詳しくは所属の団体や地方厚生(支)局に確認してください。施術録の書き方は「整骨院・接骨院の施術録の書き方」で整理しています。この記事では、自費の施術も含めた上の3つの記録を中心に扱います。

問診票に入れる項目:初回に聞くこと

問診票は、施術者が安全に施術を始めるための情報と、経過を比べるための「最初の状態」を残す用紙です。下の表は、整体院と鍼灸院で初回に聞いておきたい項目を、目的と書き方の注意つきでまとめたものです。

区分聞く項目目的書き方の注意
主な訴えつらいところ、いつから、きっかけ、つらさ(0〜10)、つらくなる動き・時間帯経過を比べる最初の基準にするつらさは毎回同じ物差し(0〜10など)で聞く
既往歴・手術歴これまでにかかった病気、けが、手術、骨折触る場所や施術の強さを決める「医師から〇〇と言われた」のように、本人の申告として書く
医療機関での治療いま通院している病気・症状、医師から施術や運動を控えるよう言われていること施術を控えるか、受診を勧めるかを判断する通院先の名前は、必要な場合だけ聞く
服用中の薬飲んでいる薬、貼り薬、サプリメント施術の強さや、鍼・お灸の扱いを決める薬の名前が分からなければ「お薬手帳を次回見せてください」と添える
生活の動作仕事の姿勢(座り仕事・立ち仕事・運転など)、運動の習慣、睡眠、日常で困る動作セルフケアの説明や、次回までの過ごし方の話に使う「階段を下りるときに膝がつらい」など、場面で書いてもらう
施術の経験と希望整体・鍼灸・マッサージの経験、好む強さ、触られたくないところ、鍼やお灸への不安初回の施術で不安を減らす鍼灸院では、鍼やお灸の経験の有無を必ず聞く
連絡と同意連絡方法の希望、お知らせの可否、個人情報の取り扱いへの同意、写真の記録への同意連絡の手段と範囲を決め、同意を記録に残す施術の連絡と、キャンペーンなどのお知らせは分けて可否を聞く

この表は、項目と目的を考えるための一覧です。印刷してそのまま使える用紙が欲しい場合は、業種別のカルテの無料PDFにある整体・接骨・鍼灸用の用紙が使えます。カウンセリングシートの聞き方そのものは、カウンセリングシートの項目例でも説明しています。

本人の申告・施術者の観察・案内した内容を分けて書く

整体は医療ではないため、問診票やカルテに病名を「診断」のように書くことは避けます。お客様が医師から聞いた病名は「本人申告」として書き、施術者が見たことは「観察」として分けます。たとえば「右の腰がつらい(本人申告、0〜10で6)」「前かがみで動きが小さい(観察)」のような書き分けです。

鍼灸師・柔道整復師のような資格がある場合も、医師による診断と受け取られる書き方は控えたほうが無難です。書き分けておくと、担当が変わってもどこまでが事実かが分かり、お客様に説明するときの言葉も選びやすくなります。

医療機関の受診を勧める目安を、院内で決めておく

問診票の目的の一つは、施術より先に医療機関で診てもらったほうがよいお客様に気づくことです。ただし、どの症状なら受診を勧めるかを一律に決めた国の基準は、この記事の確認の範囲では見つかりませんでした。具体的な線引きは、施術者の資格、所属の団体の指針、相談できる医師の助言をもとに、院ごとに決めておく必要があります。

公的な資料の例として、江東区の国民健康保険のページは、柔道整復の施術について「施術が長期にわたる場合は内科的要因も考えられるため、病院等で診察を受けましょう」と案内しています。このように、施術を続けても変化が見られない、症状が長引くといった状況は、受診を勧めるかを考える目安の一つになります。

受診を勧めたときは、カルテに次の4つを残しておきます。

  • 勧めた日と、勧めた施術者
  • 確認した状態(本人の申告と観察を分けて書く)
  • 案内した内容(「整形外科での受診をおすすめしました」など、病名は書かない)
  • お客様の返答と、次回の予約の扱い(受診後に再開する、など)

病歴・服薬は要配慮個人情報:同意と保管のルール

問診票に書いてもらう既往歴や服用中の薬は、個人情報の中でも特に慎重な扱いが求められる情報にあたる場合があります。院長が押さえておきたい点を、公的機関の説明に沿って整理します。

個人情報保護法の第2条第3項は、病歴などを含む個人情報を「要配慮個人情報」と定めています。政令では、医師などによって診療や調剤が行われたことも、その内容に含まれると書かれています。そのため「〇〇で通院中」「〇〇の薬を飲んでいる」といった問診の答えも、要配慮個人情報にあたる可能性があるわけです。

個人情報保護委員会のQ&Aによると、要配慮個人情報の取得には、原則として本人の同意が必要です。本人が反対しない限り提供できるという方法(オプトアウト)で第三者に渡すことも認められていません。漏えいなどが起きた、または起きたおそれがある場合は、委員会への報告と本人への通知などが求められます。

個人情報保護委員会と厚生労働省は、医療・介護の事業者向けのガイダンスも公表しています。対象として書かれているのは病院・診療所・薬局・介護の事業者などで、整体院や施術所が名前を挙げて含まれているわけではありません。それでも、心身の状態の記録を扱う点は共通するため、考え方の参考になります。

同じガイダンスのQ&Aは、事業者が取り組むことを「取得・利用」「保管」「第三者への提供」「開示の請求などへの対応」の4つに分けて説明しています。これを院の作業に置き換えると、次の確認表になります。

場面院でやること確かめる点
取得・利用何のために使うか(施術、予約の管理、ご案内など)を決め、院内の掲示や問診票に書く問診票の同意欄に、使い道が書いてあるか
取得・利用病歴や服薬は、ご本人に記入してもらうか、目の前で聞き取るご家族などから聞く場合の扱いを決めているか
保管紙は鍵のかかる場所に置き、受付の台に出したままにしない閉院後に問診票が机に残っていないか
保管Excelやシステムは、スタッフごとのアカウントとパスワードで開く辞めたスタッフのアカウントを止めているか
第三者への提供医療機関や家族に情報を伝えるときは、あらかじめご本人の同意を得る同意を得た日と範囲を記録しているか
開示などへの対応ご本人から記録を見たいと言われたときの窓口と手順を決める誰が対応し、何日以内に返すかを決めているか

ここで挙げたのは、公的機関のページから読み取れる範囲の整理です。院の規模や扱う情報によって必要な対応は変わるため、同意書の文面や規程を作るときは、弁護士などの専門家に確認してください。紙のカルテを電子化するときの個人情報の注意は、紙カルテを電子化する手順でも扱っています。

紙・Excel・顧客管理システムの比べ方

記録をどこで管理するかは、院の規模と、保険(療養費)を扱うかどうかで考えると決めやすくなります。

比べる点紙Excel・スプレッドシート予約・顧客管理のシステム
始める費用用紙と保管棚だけ手持ちのパソコンで始められる月額料金がかかる
過去の記録を探す棚から探す。来院が多いほど時間がかかる検索できるが、1人1行の表は施術の履歴が横に長くなる名前や電話番号で呼び出せる
予約とのつながり予約表と別に管理する予約表と別のファイルになりやすい予約からそのお客様の記録を開ける
再来の確認手で数える関数や集計で出せるが、作る手間がかかる来院の履歴から数えられる製品が多い
保管の安全鍵のかかる棚が必要。紛失や持ち出しに注意ファイルの置き場所とパスワードの管理が必要アカウントごとの権限やログインの管理を確かめる
向いている院1人で開業したばかりで、来院数が少ない院項目を自分で決めたい、小さな院スタッフが複数いる院、予約と記録を一緒に見たい院

保険の請求があるかで、システムの系統を分ける

整骨院・接骨院や、療養費を扱う鍼灸院・マッサージ院では、施術録の作成と療養費の請求に対応した専用のシステム(いわゆるレセコン)が必要です。予約や顧客管理のシステムの多くは、療養費の請求の機能を持っていません。そのため、請求は専用のシステムで行い、予約・顧客台帳・自費の施術の記録は予約・顧客管理のシステムで行う、という分け方がよく取られます。

自費の施術だけを行う整体院なら、予約・顧客台帳・問診・カルテが1つにまとまったシステムを選ぶと、二重の入力を減らせます。顧客管理のシステムを選ぶときの全体の考え方は、顧客管理システム(CRM)の選び方で、つながりの判断表とともに説明しています。

記録を再来につなぐ使い方

記録は、書いて終わりにせず、次の来院の提案と、間が空いたお客様への連絡に使います。ここでは、施術の効果を約束するのではなく、お客様が通い続けるかどうかを自分で判断できる材料を渡す、という考え方で進めます。通院計画の伝え方やセルフケア指導は「整体院・整骨院のリピート」で詳しく扱っています。

施術のあとに「次回の目安」を記録して伝える

施術の直後に、次回までの過ごし方と次回の目安(「2週間後に様子を見ましょう」など)をカルテに書きます。会計のときにその記録を見ながら次回の予約を提案すると、担当が受付にいなくても同じ説明ができるでしょう。次回の予約をその場でどのくらい取れているかは、次回予約率の計算と上げ方の方法で数えられます。

つらさの数字を並べて、経過をお客様と確かめる

問診票とカルテで、つらさを同じ0〜10の物差しで記録しておくと、回ごとの数字を並べてお客様と一緒に振り返れます。数字が変わらない、または悪くなっている場合は、施術の内容を見直すか、受診を勧めるかを考えるきっかけにもなります。

間が空いたお客様に、案内してよい範囲で連絡する

顧客台帳の来院日の履歴から、次回の目安を過ぎても予約がない方を探し出します。連絡するのは、問診票で「お知らせを受け取る」に同意した方だけにし、施術の連絡と販促のお知らせは分けて扱います。再来の割合の出し方は、リピート率の計算方法が参考です。

ここまでの流れを図にすると、次のようになります。

整体院・鍼灸院の記録を再来につなぐ流れの図。1 初回の予約で顧客台帳を作る(連絡先・来院のきっかけ)、2 問診票で既往歴・服薬・医療機関での治療・生活の動作を聞く、3 施術ごとにカルテを書く(本人の申告と観察を分け、つらさを0〜10で記録)、4 次回の目安を伝えて次回の予約を提案する、5 目安を過ぎた方には、お知らせに同意した方だけに連絡する。

Leporto でできること・できないこと

Leporto は、予約・顧客・カルテ(音声カルテを含む)をひとつにまとめて管理できる、経営改善型の予約管理システムです。来院前に Web でカウンセリングシート(問診)を入力してもらえるため、初回の問診票を受付で書いてもらう時間を減らせます。予約の確定とリマインドは LINE のトークやメールで自動で送れ、来院の周期などで相手を絞って LINE で配信することもできます。

管理画面の「アナリティクス」では、来院のきっかけ別に新規客数と再来率を見られます。Leporto の POS(会計)を使う場合は、予約と会計の記録もつながります。カルテの機能の紹介は Leporto の電子カルテをご覧ください。

一方で、Leporto には療養費の請求(レセコン)の機能や、医療機関向けの電子カルテの機能はありません。整骨院・接骨院など療養費を扱う院では、施術録と請求のための専用のシステムを別に用意したうえで、予約と顧客管理に Leporto を使う形になります。

施術の記録・回数券・次回予約を、整体院の初回の受付から再来までの流れに沿ってどう扱うかは、整体院向けの予約システムのページで説明しています。

参考にした公的機関の資料

いずれも2026年10月18日に参照しました。

よくある質問

Q. 整体院の顧客管理は Excel でもできますか?

できます。1人で開業したばかりで来院数が少ないうちは、Excel やスプレッドシートでも十分に回ります。ただし、施術の履歴が増えると表が横に長くなり、予約表とも別のファイルになりがちです。問診票の病歴や服薬を Excel に打ち込む場合は、ファイルの置き場所とパスワードの管理も必要になります。

Q. 問診票とカルテは分けたほうがいいですか?

分けておくのがおすすめです。問診票は初回にお客様が書く「最初の状態」の記録で、カルテは施術者が毎回書く経過の記録です。役割を分けると、担当が変わっても、最初の状態と今の状態を比べやすくなります。

Q. 整骨院で、保険の施術と自費の施術の両方がある場合はどうすればいいですか?

療養費の対象となる施術の施術録と請求は、国の通知に沿って、請求に対応した専用のシステムで扱います。そのうえで、予約・顧客台帳・自費の施術の記録を予約・顧客管理のシステムで管理する形が考えられます。施術録の記載事項は、所属の団体や地方厚生(支)局に確認してください。

Q. 過去の紙のカルテはどうすればいいですか?

すべてを一度に移す必要はなく、いま通っているお客様の分から移すのが現実的です。Leporto の場合、紙のカルテをスキャンして PDF などのデータにしていただければ、取り込みを相談できます。紙のままお預かりして入力する作業は行っておらず、手書きの字が読み取れないものは移せません。移す範囲の決め方は、同意と保管の節で紹介した電子化の手順の記事で説明しています。