サロンのシフト管理:予約から必要人数を出す、美容室のシフトの作り方と勤怠管理

サロンのシフト管理は、スタッフの希望から組み始めるのではなく、曜日・時間帯ごとの予約の数から「何人いればよいか」を先に出し、そこに希望休と指名のお客様を当てはめる順で進めると、人の多すぎ・足りなさが減ります。組んだシフトは「予定」なので、実際に働いた時間は勤怠として別に記録し、給与の計算につなぎます。そのうえで、休憩と労働時間は労働基準法のルールの中に収める必要があります。この記事では、美容室のシフトの作り方を5つの手順で示し、そのまま使えるシフト表のテンプレート、休憩・労働時間のルール、勤怠の記録の方法を順に説明します。
サロンのシフト管理で決めること:シフトと勤怠の違い
シフト管理と勤怠管理は、よく一緒に語られますが、扱う時間が違います。シフトは「いつ誰が働く予定か」、勤怠は「実際にいつからいつまで働いたか」です。
| シフト(予定) | 勤怠(実績) | |
|---|---|---|
| 決めるもの | 出勤日、出勤・退勤の予定時刻、休憩の予定 | 実際の出勤・退勤の時刻、休憩、遅刻・早退・欠勤 |
| 決める人 | 店長・オーナー(スタッフの希望を聞いて) | 本人の打刻を、店長が確かめる |
| 使い道 | 予約を受けられる枠を決める | 給与の計算、労働時間の管理 |
| 見直す時期 | 月ごと・週ごと | 毎日記録し、月ごとに締める |
サロンでは、シフトがそのまま「予約を受けられる時間」になります。シフトに入っていないスタッフには、予約を入れられません。そのため、シフトの組み方は売上に直結します。一方で勤怠は、給与と労働時間のルールに直結します。両方を同じ表で済ませようとすると、予定と実績が混ざってしまうので、表を分けて管理するのが基本です。
美容室のシフトの作り方:予約の数から必要な人数を出す5つの手順
美容室のシフトの作り方を、5つの手順に分けて説明します。
- 曜日・時間帯ごとの予約を数える
- 時間帯ごとに必要な人数を出す
- 必要人数の表に、スタッフを当てはめる
- 指名のお客様と、アシスタントの配置を確かめる
- 実績と比べて、翌月のシフトを直す
手順1:曜日・時間帯ごとの予約を数える
まず、過去4〜8週分の予約を、曜日と時間帯(1時間や2時間の区切り)ごとに数えます。数えるのは予約の件数よりも、施術にかかる時間の合計のほうが正確です。カット30分とカラー90分では、スタッフが手を取られる時間が3倍違うからです。
数える期間に連休や雨の日が多く含まれていると、ふだんより偏った数字になります。月をまたいで比べるときは、同じ条件の週を選びます。
手順2:時間帯ごとに必要な人数を出す
次に、時間帯ごとに必要な人数を出します。計算の式は次のとおりです。
必要人数 = その時間帯の施術時間の合計 ÷(区切りの時間 × 目標の稼働率)
目標の稼働率は、出勤している時間のうち、施術で埋まっていてほしい割合です。100%にすると、遅れや飛び込みのお客様に対応できず、休憩も取れません。何%を目標にするかは、店のメニューや予約の取り方によって変わるので、まずは過去の実績を出してから決めます。稼働率の分母と分子の決め方は、美容室の稼働率の計算方法で詳しく説明しています。
計算の例を示します(数字は説明のための仮のものです)。土曜日の13〜15時の2時間に、過去の平均で施術時間が合計360分入っていたとします。目標の稼働率を75%とすると、次のようになります。
360分 ÷(120分 × 0.75)= 4人
この結果は、施術を担当するスタッフ(スタイリスト)の人数です。シャンプーや受付を別の人が担当する店は、その人数を別に足します。
手順3:必要人数の表に、スタッフを当てはめる
時間帯ごとの必要人数がそろったら、シフト表の上に「必要人数」の行を作り、その下にスタッフを当てはめます。希望休はこの段階で入れます。先に希望休をすべて受け入れてから必要人数を見ると、土日に人が足りないことが最後に分かり、組み直しになるからです。
希望休の受け付けには、締め切り日と、土日に希望休を出せる回数の上限を決めておくと、話し合いがしやすくなります。休みの取りやすさの偏りは、スタッフの不満につながることもあります。シフトと休みの公平さの見直し方は、美容室のスタッフが辞める理由と定着の対策で紹介しています。
手順4:指名のお客様と、アシスタントの配置を確かめる
美容室では、人数が足りていても、指名のお客様が多いスタイリストが休みだと予約を受けられません。指名のお客様の来店は、曜日や時間帯に偏ることがあります。そこで、スタイリストごとに「指名の予約が多い曜日」を過去の予約から確かめ、その日の出勤を優先します。逆に、指名が少ない日にフリーのお客様を多く受ける人を配置すると、店全体の予約の受け口が広がります。
アシスタントは、カラーやパーマの多い時間帯に重ねて配置します。アシスタントがいないと、スタイリストが薬剤の塗布や流しで手を取られ、次のお客様の施術を始められないからです。
手順5:実績と比べて、翌月のシフトを直す
月が終わったら、シフト(予定)と実際の予約・勤怠(実績)を比べます。とくに確かめたいのは、出勤していたのに予約が埋まらなかった時間帯と、予約が埋まってお断りや待ち時間が出た時間帯です。あわせて、休憩が取れなかった日や残業が多かった日も拾い出します。
この結果を手順2の計算に戻し、翌月のシフトを直します。予約が埋まらなかった時間帯は、人を減らすか、その時間に来てもらえる案内(平日の割引や LINE の配信など)を考えます。
ここまでの5つの手順を、次の図にまとめました。

シフト表のテンプレート(記入例)
手順3で使うシフト表の形です。1日分を時間帯で区切り、上に「必要人数」と「予約の施術時間」、下にスタッフを並べます。表計算ソフトでも、紙でも作れます。
| 時間帯(土曜日) | 10〜12時 | 12〜14時 | 14〜16時 | 16〜18時 | 18〜20時 |
|---|---|---|---|---|---|
| 予約の施術時間(分・過去の平均) | 240 | 360 | 360 | 270 | 150 |
| 必要人数(目標の稼働率 75%) | 3 | 4 | 4 | 3 | 2 |
| スタイリスト A(指名多い) | ○ | ○ | 休憩 | ○ | ○ |
| スタイリスト B | ○ | ○ | ○ | 休憩 | ○ |
| スタイリスト C | ○ | 休憩 | ○ | ○ | - |
| スタイリスト D(パート) | - | ○ | ○ | ○ | - |
| アシスタント E | ○ | ○ | ○ | 休憩 | ○ |
| 出勤しているスタイリストの人数 | 3 | 3 | 3 | 3 | 2 |
数字は記入例のための仮のものです。この例では、12〜16時に必要人数が4人なのに、休憩が重なって3人しかいません。休憩を予約の少ない10〜12時と18〜20時にずらすか、パートのスタッフの出勤を早めるなどして、表の上で過不足を解消します。
休憩は、シフト表だけでなく予約表にも「予約を入れない枠」として入れておきます。予約表に枠がないと、空いている時間に予約が入ってしまい、休憩が取れなくなるからです。
休憩と労働時間のルール(労働基準法)
シフトを組むときは、休憩と労働時間を労働基準法のルールの中に収める必要があります。厚生労働省のページ「労働時間・休日」では、主なルールを次のように説明しています。
| ルール | 厚生労働省の説明(要約) | シフトで気をつけること |
|---|---|---|
| 労働時間 | 原則として、1日に8時間、1週間に40時間を超えて働かせてはいけない | 開店前の準備や閉店後の片付けも含めて数える |
| 休憩 | 労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上の休憩を与える | 予約表に休憩の枠を入れ、予約で埋めない |
| 休日 | 少なくとも毎週1日、または4週間を通じて4日以上の休日を与える | 連休前後の連続出勤を確かめる |
| 時間外・休日の労働 | 労使協定(36協定)を結んで届け出た場合に認められる。時間外労働には限度がある | 協定がないまま残業させない |
土日に予約が集中し、平日に空きが出やすい店では、その差に合わせて日ごとの労働時間を変えたい場合、変形労働時間制(1か月単位・1年単位・1週間単位)という仕組みがあります。ただし、労使協定や就業規則などで定める必要があります。
ここで紹介したのは、厚生労働省のページにある原則の要約です。店の規模や働き方によって扱いが変わることがあるので、詳しくは社会保険労務士などの専門家や、労働基準監督署に確かめてください。
勤怠の記録と、給与への接続
シフトを組んだあとは、実際に働いた時間を勤怠として記録します。サロンでは、開店前の準備や閉店後の練習・片付けで、シフトの時刻と実際の時刻がずれやすいので、記録の決まりを先に作っておきます。
厚生労働省は「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」(平成29年1月20日策定)を出しています。労働基準法により、使用者は労働時間を適切に管理する責務を持つとされ、割増賃金の未払いや長時間労働を防ぐための具体的な措置が示されています。勤怠の記録の方法を決める前に、一度目を通しておくと安心です。
店で決めておきたいことは、次の3つです。
| 決めること | 例 | 決めておく理由 |
|---|---|---|
| 記録の方法 | タイムカード、勤怠のアプリ、予約システムの打刻 | 手書きの自己申告だけだと、あとで確かめにくい |
| 打刻のタイミング | 開店前の準備を始めるとき、片付けを終えたとき | シフトの時刻と実際の時刻のずれを残すため |
| 修正のしかた | 打刻を忘れた日は、本人が理由を書き、店長が確かめる | 月末にまとめて直すと、記憶があいまいになる |
シフトの予定と勤怠の実績を並べておくと、予定より長く働いた日がすぐに分かります。その日が予約の詰まりによるものなら、手順2の必要人数が足りていなかったということです。勤怠の記録は給与のためだけでなく、翌月のシフトを直す材料にもなります。
給与の計算につなぐ流れ
勤怠の記録は、月ごとに締めて給与の計算に使います。流れは次のとおりです。
- 毎日の出勤・退勤・休憩の時刻を記録する
- 月末に、打刻の漏れや修正を本人と店長で確かめる
- 労働時間・残業時間・深夜の時間・休日の出勤を集計する
- 基本給や時給、歩合と合わせて、給与を計算する
美容室では、指名やフリー、店販の売上に応じた歩合を給与に加える店も多くあります。歩合の割合の決め方や、指名とフリーを分けた計算は、美容室の歩合制の計算方法で説明します。
予約・シフト・勤怠をつなげて管理する
シフト管理のいちばんの手間は、予約・シフト・勤怠の3つを別々の表で持つことです。予約表を見ながらシフト表を作り、勤怠の表から給与を計算し、稼働率を出すにはまた別に集計し直す、という作業が毎月発生します。
予約管理システムの中には、シフトと予約を同じ画面で扱えるものがあります。Leporto では、予約・顧客・カルテと一緒にスタッフの勤怠も管理できます。美容室のシフト管理をアプリで済ませたい店では、打刻、シフトの登録、有給の申請、経費の申請を、スタッフがアプリか LINE の LIFF(LINE の中で開く画面)から行う形です。分析の画面では稼働率も確かめられます。Leporto の稼働率は、施術の時間(予約のメニューの所要時間と、会計で追加した施術の時間の合計)を、シフトの出勤予定時間で割った値です。月ごとに、店全体とスタッフ別で見られ、今月から2か月先までの予測も確かめられます。シフトの出勤予定時間が分母になるので、手順5の「出勤していたのに予約が埋まらなかった」を、スタッフ別の数字で確かめられます。見られる数字は、売上・集客の分析の機能ページで紹介しています。
Leporto では、スタッフが LINE の中で開く画面(LIFF)のダッシュボードから、出勤・退勤・休憩を打刻できます(表示はデモデータ)。

参考にした公的機関の資料
いずれも2026年10月18日に参照しました。
- 厚生労働省「労働時間・休日」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/roudouzikan/index.html
- 厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/roudouzikan/070614-2.html
よくある質問
Q. シフトはどのくらい前に出せばよいですか?
いつまでに出すかは、就業規則や雇用契約で決めておくのが基本です。スタッフが予定を立てられるように、翌月分は早めに出すほうが話し合いもしやすくなります。希望休の締め切りと、シフトを出す日を毎月同じ日に固定しておくと、調整が楽になります。
Q. 指名の多いスタイリストが休みたがりません。どうすればよいですか?
休みを取らないと、労働時間や休日のルールを守れなくなるおそれがあります。指名のお客様には、来店の多い曜日を過去の予約で確かめたうえで、その曜日は出勤し、ほかの曜日に休むという形で調整します。次の予約を会計のときに取ってもらえば、休みの日を避けて予約を入れやすくなります。
Q. 練習の時間は労働時間に入りますか?
店の指示で参加が決まっている練習は、労働時間にあたる可能性があります。ただ、参加が自由かどうかなど、状況によって扱いが変わります。厚生労働省の「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」を確かめたうえで、詳しくは社会保険労務士などの専門家に相談してください。
Q. 少人数の店でも、シフト表は必要ですか?
2〜3人の店でも、予約を受けられる時間を決めるためにシフト表は役に立ちます。とくにパートのスタッフがいる店では、出勤予定と実際の勤怠を分けて残しておくと、給与の計算で迷いません。
