予約システムは自作できる?作り方と、本当の費用・手間の見積もり方

閉店後のスタッフルームで、ノートパソコンと手描きの設計図と電卓を前に考えている店主の後ろ姿

予約システムは自作できます。Googleフォームと表計算ソフトなら、予約の申し込みを受ける形はその日のうちに作れます。ただし、手間がかかるのは作る作業より、そのあとの運用です。二重予約の防止、変更とキャンセル、確認の連絡、個人情報の管理、作ったあとの保守に時間がかかります。自作か導入かは、作る費用に 1 年分の保守の手間を足した額と、既製のサービスの年額を同じ表で比べて決めるのが確実です。この記事では、自作の 4 つの方法、手間がかかる部分、見積もりの手順、判断の基準を順に整理します。

予約システムを自作する 4 つの方法

店舗の予約システムを自分で用意する方法は、大きく 4 つあります。比べやすいように、既製の予約サービスを契約する場合も最後の行に並べました。

方法作るもの必要な知識かかる費用の内訳向いている場面
表計算ソフト+Googleフォーム申し込みのフォームと、回答が並ぶ表表計算ソフトの基本。自動化するならスクリプト(Google Apps Script)自分の作業時間。Google のアカウントは無料で始められる件数が少なく、店が確認してから予約を確定する形でよい
ノーコードツール画面とデータベースを、部品を組み合わせて作るツールの操作。データの持ち方の考え方ツールの月額、自分の作業時間予約の項目や画面を店に合わせたい
AI でのコーディング生成 AI にプログラムを書かせて、予約の仕組みを作るプログラムを読んで確かめる力。公開の仕方AI の利用料、サーバーやドメインの費用、自分の作業時間店の予約の決まりが独特で、既製品に合わない
外注(開発会社に頼む)要件を伝えて作ってもらう要件をまとめる力。見積もりを比べる力開発費、保守の契約費店舗やスタッフが多く、決まりが複雑
(比較)既製の予約サービス作らない。設定して使う設定の操作月額、初期費用、決済の手数料一般的な予約の形で足りる

上位の記事を読むと、費用の目安を数字で載せている記事もあります。ただし、開発費は作る範囲で大きく変わり、出典のない相場の数字では自分の店の判断に使えません。この記事では金額の相場を書かず、自分の店の数字を入れて計算する手順を示します。

まず決めること:予約システムに要る機能

作り方を選ぶ前に、店の予約で何が必要かを書き出します。美容室・ネイル・まつげ・エステ・整体のように、担当者と時間で予約を受ける店では、次の機能が候補になります。

機能中身自作で手間がかかる理由
予約枠の設定営業時間、定休日、スタッフごとの出勤、メニューごとの所要時間スタッフの休みやメニューの組み合わせで、空きの計算が複雑になる
空き状況の表示お客様が選べる日時を出す既存の予約、休憩、準備の時間をすべて引いて計算する必要がある
予約の受付日時・メニュー・担当・連絡先を受ける同じ枠に 2 人が同時に申し込んだときの扱い(二重予約の防止)
確認の連絡予約を受けたことをお客様に知らせるメールや LINE の送信の仕組みを用意する
変更・キャンセルお客様か店が予約を動かす空いた枠を戻す、期限を過ぎた変更を受けない、などの決まりを作る
リマインド来店の前日などに知らせる決まった時刻に自動で送る仕組みが要る
管理画面店側で予約を一覧し、枠を開け閉めするお客様の画面とは別に作る必要がある
顧客の記録来店の履歴、メモ予約と顧客をつなぐデータの持ち方を決める
ほかの経路との統合電話やほかの予約サイトの予約をまとめる経路ごとに書き写すか、連携の仕組みを作る
決済(使う場合)事前にお代をいただくカードの情報を自分で扱わない作りにする

全部を作る必要はありません。ただ、表の上半分(枠・空き・受付・連絡・変更とキャンセル)が欠けると、電話や DM での対応が結局残ります。

自作で手間がかかる 6 つの部分

上位の記事でも、作ることより「作ったあとの手間」が問題だと書かれています。ここでは、店の運用で特に手間がかかる部分を 6 つに分けて説明します。

1. 二重予約:同じ枠に同時に申し込まれたとき

1 人で試している間は、二重予約は起きません。起きるのは、人気の枠に複数のお客様がほぼ同時に申し込んだときです。「空きを確かめる」と「予約を書き込む」の間にわずかな時間があると、その間に別の申し込みが入ることがあります。

AI でのコーディングやノーコードで作るなら、最初から「同時に申し込まれても、1 つの枠は 1 人にしか渡さない」作りにする必要があります。公開する前に、2 台のスマートフォンで同じ枠に同時に申し込み、片方が必ず断られるかを確かめてください。

Googleフォームで受ける場合は、フォームの回答は「申し込み」として扱い、店が空きを確かめてから確定の連絡をする形にすると、二重予約は店の確認の段階で防げます。そのかわり、確定の連絡をする手間は毎回残ります。

2. 変更・キャンセルと、店ごとの例外

運用の手間は、予約を受けるところより、変更とキャンセルに集まります。キャンセルされた枠が空きに戻らない、変更の前と後の両方に予約が残る、といった食い違いが起きやすい部分です。

サロンには、ほかにも例外があります。施術が延びて次の予約に重なる、当日に担当を変える、常連のお客様だけ営業時間の外に受ける、などです。こうした例外を書き出しておかないと、作ったあとに「この場合はどうするか」を毎回手で直すことになります。

3. 確認とリマインドの連絡

予約を受けたら、お客様に確認の連絡を送ります。来店の前日にリマインドを送るなら、決まった時刻に自動で送る仕組みも必要です。送る時点と文面の例は、予約リマインドの例文にまとめています。

メールで送るなら、送信に使うサービスや送信の上限を確かめます。LINE で送るなら、店の LINE 公式アカウントと、LINE の開発者向けの仕組み(Messaging API)を使うことになり、配信の通数に応じた料金は店の負担です。LINE 側の料金の数え方は、LINE で予約を受ける方法の記事にまとめています。

4. 個人情報の管理

予約のデータには、お客様の名前、電話番号、来店の履歴が入ります。表計算ソフトのファイルを「リンクを知っている人は見られる」設定にしたままにすると、関係のない人が開ける状態になります。

自作するときは、少なくとも次の点を決めておきます。

  • ファイルや管理画面を見られる人の範囲と、スタッフが辞めたときに権限を外す手順
  • データのバックアップを取る頻度と、戻す手順
  • スマートフォンをなくしたときに、ログインを止める手順

個人情報保護法では、個人データを漏えいなどから守るための安全管理の措置が求められています。事業者向けのガイドラインや中小企業向けの資料は、個人情報保護委員会の「法令・ガイドライン等」のページにまとまっています(2026 年 10 月 18 日に確認)。具体的な対応は、必要に応じて専門家に相談してください。

5. 決済

事前決済を使う場合、カードの番号を自分の仕組みで受け取ったり保存したりしない作りにします。決済は専門の決済サービスに任せ、お客様には決済サービスの画面で入力してもらう形が一般的です。決済サービスの手数料と、予約のキャンセル時の返金の扱いは、サービスの公式のページで確かめてください。

6. 作ったあとの保守

自作の仕組みは、一度作れば終わりではありません。使っているツールや外部のサービスの仕様が変わると、昨日まで動いていたものが動かなくなることがあります。止まっている間は、予約を受けられないか、受けた予約が記録されないことがあります。

もう 1 つの心配は、作った人しか直し方を知らない状態です。作った人が辞めたり忙しくなったりすると、直せる人がいなくなります。外注した場合も、保守の契約の範囲(不具合の修正、仕様の変更、問い合わせの受付時間)を確かめておく必要があります。

自作の本当の費用を見積もる手順

ここからが、自作か導入かを決めるための見積もりの手順です。「作る費用」だけでなく、「毎月の費用」と「保守の時間」を 1 年分に直して比べます。

  1. 今の予約の決まりと例外を、紙に書き出す(定休日、スタッフの休み、メニューの時間、キャンセルの期限、例外の扱い)
  2. 上の「要る機能」の表から、作る機能に印をつける
  3. 作るのにかかる時間を見積もる(自分で作るなら作業の時間、外注なら見積もりの金額)
  4. 毎月かかる費用を書き出す(ツールの月額、AI の利用料、サーバーとドメイン、メールや LINE の送信の費用)
  5. 毎月の保守の時間を見積もる(不具合を直す、設定を変える、お客様からの問い合わせに答える)
  6. 手作業で残る時間を見積もる(確定の連絡、ほかの経路からの書き写し)
  7. 1 年分の合計を出し、既製のサービスの年額と並べる

見積もりの表

下の表に、自分の店の数字を入れて計算してください。時給の目安は、店主やスタッフの 1 時間あたりの人件費で置きます。

項目自作(フォーム・ノーコード・AI)外注既製の予約サービス
作る・設定する費用作業の時間 × 時給の目安開発費初期費用(自分で設定するなら設定の時間 × 時給の目安)
毎月の費用 × 12ツール・AI・サーバー・送信の費用サーバー・保守の契約費月額 × 12
保守の時間 × 12月の保守の時間 × 時給の目安店側の確認の時間 × 時給の目安ほぼかからない(設定の変更の時間)
手作業で残る時間 × 12確定の連絡・書き写しの時間 × 時給の目安同じく同じく(残る分だけ)
決済の手数料(使う場合)決済額 × 手数料率同じく同じく
1 年の合計(合計)(合計)(合計)

次の図は、上の表の「自作」の列を、最初に作る費用、毎月かかる費用の 12 か月分、使う場合の決済の手数料に分けて足したものです。

自作の予約システムの 1 年の費用の図。最初に作る・設定する費用(作業の時間×時給の目安)に、毎月の費用(ツール・AI・サーバー・送信の費用)、保守の時間(月の保守の時間×時給の目安)、手作業で残る時間(確定の連絡・書き写しの時間×時給の目安)の 12 か月分と、使う場合は決済の手数料(決済額×手数料率)を足すと 1 年の合計になり、既製のサービスの年額と並べて比べる。

計算の例を示します(作業の時間と時給は、計算の流れを示すための仮の値です)。自分で作るのに 40 時間かかり、時給の目安を 1,500 円とすると、作る費用は 60,000 円です。保守に月 3 時間かかると、1 年で 36 時間、54,000 円になります。ツールの月額などが 0 円でも、1 年目の合計は 114,000 円ほどです。2 年目以降も、保守の分は毎年かかります。

この数字に入っていないのが、二重予約や予約の取りこぼしが起きたときの損失です。金額にしにくいので、試しに使う期間に、起きた回数を記録しておくと判断の材料になります。

自作が向いている店・向いていない店

見積もりのほかに、次の基準でも確かめておくと判断しやすくなります。

確かめること自作が向いている既製のサービスが向いている
予約の件数少ない。店が確認してから確定する形で困らない多い。営業時間の外も自動で確定させたい
スタッフの数1 人か、ごく少人数複数で、担当別の枠や指名を分けたい
予約の決まり既製品では表せない独自の決まりがある時間と担当で予約を受ける、一般的な形
直せる人店の中に、仕組みを直せる人がいる直せる人がいない、または 1 人だけ
ほかの予約経路自社の予約だけホットペッパービューティーなどほかの経路も使っている
カルテや分析予約だけ管理できればよい予約とカルテ、売上の数字をまとめて見たい

左の列に多く当てはまるなら、自作で始めてみる価値があります。右の列に多く当てはまるなら、作る手間と保守の時間を考えると、既製のサービスを比べるほうが早いことが多いです。

自作するなら:Googleフォームで始める手順

いちばん手軽に始められるのは、Googleフォームで申し込みを受け、店が確認して確定する形です。

  1. フォームに、名前、電話番号かメールアドレス、希望のメニュー、希望の日時(第 1・第 2 希望)、担当の希望、連絡事項の欄を作る
  2. フォームの説明に、「送信した時点では予約は確定していません。店から確定の連絡をします」と書く
  3. 回答を表計算ソフトのシートに集め、シートに「確定」「お断り」「キャンセル」の列を足す
  4. 店のカレンダーか予約台帳で空きを確かめ、確定の連絡をする
  5. シートとフォームを見られる人を、店のスタッフだけに絞る
  6. 予約のページのリンクを、ホームページや SNS、LINE 公式アカウントに置く

空き枠が埋まったら自動で受付を止めたり、確定の連絡を自動で送ったりするには、Google Apps Script での自動化が必要です。自動化するほど、上の「二重予約」と「保守」の手間が増える点に気をつけてください。

予約フォームの作成と、Googleカレンダーでの予約管理

予約フォームを作成するときは、上の手順のように「申し込みを受けるフォーム」と「予約を並べて見る場所」を分けて考えると整理しやすくなります。予約を並べて見る場所として、Googleカレンダーを使う店もあります。フォームの回答を見て、確定した予約をスタッフごとのカレンダーに入れていく形です。Googleカレンダーには、予約を受け付けるページを作る機能が用意されている場合もあります。使える条件や内容は、Google の公式の案内で確かめてください。

ただし、サロンの予約の管理に使うには、次の限界があります。

  • フォームとカレンダーが別々なので、転記の漏れや遅れがあると二重予約が起きる
  • カレンダーの予定は「顧客の記録」ではないため、来店の履歴やカルテ、施術の内容を1人ずつたどりにくい
  • お客様へのリマインドは、店から手作業で送る形になりやすい
  • カレンダーを共有する範囲を誤ると、お客様の名前や連絡先が関係のない人に見えてしまう

スタッフが1〜2人で予約が少ないうちは、この形でも回せます。予約の数やスタッフが増えたら、上の見積もりの表で既製のサービスと比べてください。

AI に作らせるときに、最初に伝えること

生成 AI にプログラムを書かせる場合は、画面より先に、次の条件を伝えます。

  • 同じ枠に同時に申し込まれても、1 つの枠は 1 人にしか渡さないこと
  • 変更とキャンセルを最初から入れ、キャンセルした枠を空きに戻すこと
  • 個人情報を見られる人を管理画面のログインで絞ること
  • カードの情報は扱わず、決済は決済サービスに任せること
  • データのバックアップの取り方と、戻し方

書かれたプログラムが条件どおりに動くかは、自分で試して確かめる必要があります。試し方が分からない場合は、自作ではなく外注か既製のサービスを検討する段階です。

既製の予約システムを使うときの費用の見方

既製のサービスを比べるときも、月額だけでなく、上の見積もりの表と同じ形で 1 年の合計を出します。カルテや分析まで 1 つにまとめたい店には、それらを含むサービスも選択肢に入ります。店の悩みから必要な機能を決める手順は予約システムの選び方で、無料プランで足りるかの見分け方は無料の予約システムで足りなくなるときをご覧ください。導入する場合の料金の相場は予約システムの料金・費用相場と総額の計算で、候補のサービスの比べ方は予約システムの比べ方で説明しています。

Leporto は、予約・顧客・カルテ(音声カルテを含む)・売上と集客の分析・LINE 連携を 1 つにまとめた、経営改善型の予約管理システムです。ホットペッパービューティー(サロンボード)の予約とまとめて管理することもできます。料金(税抜)は、ライトが月 5,000 円(オーナーとスタッフ 1 名まで)、スタンダードが 1 店舗目 月 30,000 円(スタッフ 5 名まで)です。スタッフの追加は 1 名につき月 2,000 円で、契約は 1 年単位です。初期費用は、自分で設定すれば無料、設定の代行を頼む場合は 1 店舗 30,000 円で、データの移行も含みます。

たとえばライトなら、1 年の月額の合計は 60,000 円(税抜)です。上の自作の計算の例と並べるときは、既製のサービスでも残る手作業の時間を足して比べてください。プランの違いはプランごとの料金と含まれる機能で、ほかの仕組みからの移り方は乗り換え・導入の流れで確かめられます。

参考にした公的機関の資料

いずれも2026年10月18日に参照しました。

よくある質問

予約システムは無料で自作できますか?

Googleフォームと表計算ソフトを使えば、ツールの費用をかけずに申し込みを受ける形は作れます。ただし、確定の連絡や空きの確認は手作業になり、その時間は費用として見積もっておく必要があります。

プログラミングができなくても作れますか?

申し込みを受けて店が確定する形なら、Googleフォームやノーコードツールで作れます。空き枠を自動で計算して即時に確定させる形は、二重予約を防ぐ作りが必要で、作ったものを自分で試して確かめる力が要ります。

Googleフォームで二重予約を防ぐには?

フォームの回答を「申し込み」として扱い、店が空きを確かめてから確定の連絡をする形にするのが確実です。フォームの説明に「送信の時点では確定していない」と書いておくと、お客様との行き違いを防げます。

自作した予約システムで、LINE に通知を送れますか?

店の LINE 公式アカウントと、LINE の開発者向けの仕組み(Messaging API)を使えば送れます。LINE 公式アカウントの料金と配信の通数の数え方は、LINE ヤフーの公式の料金ページで確かめてください。料金は店の負担です。

自作から既製のサービスに移るとき、データは移せますか?

自作の仕組みからデータを書き出せれば、移せる場合があります。顧客と予約のデータを、表計算ソフトで開ける形(CSV など)で書き出せるように作っておくと、あとで移りやすくなります。