サロンの集客効果を測定する方法:媒体別に予約・来店・継続売上をつなぐ集計表

受付で開いた予約帳の各行の端に、来店のきっかけを表す色の丸いシールを貼り分けている手元

サロンの集客効果は、媒体ごとに「予約 → 来店 → 再来 → 継続売上」の4段をつないで測定すると、正しく比べられます。予約数や新規客数だけで比べると、来店しなかった予約や、1回で来なくなったお客様の分を見落とすためです。測定は、新規のお客様1人ずつに「来店のきっかけ」を1つ記録することから始まります。

この記事では、まず使う指標と計算式を整理し、来店のきっかけを記録する方法(受付で聞く、URL やクーポンで分ける)を説明します。そのあと、媒体別の集計表のひな形と、仮の数字を使った計算例を載せます。広告費の決め方の全体は、集客経路ごとの広告費の決め方とあわせて読むと、つながりが分かりやすくなります。

集客効果は「予約・来店・再来・継続売上」の4段で測る

Web 広告の管理画面では、表示回数やクリック数、予約の数などをすぐに確かめられます。ただし、サロンの経営にとって大切なのは、その予約が来店につながり、さらに通い続けてもらえたかどうかです。広告の画面で分かるのは、多くの場合、予約までです。

そこで、媒体ごとに次の4段を順に数えます。

段数えるもの分かること
1. 予約その媒体から入った新規の予約数媒体がどれだけ予約を生んだか
2. 来店予約のうち、実際に来店した新規客数キャンセルや無断キャンセルで減った分
3. 再来新規客のうち、決めた期間内に2回目に来た人数店に合うお客様を連れてきたか
4. 継続売上新規客が一定の期間に払った売上の合計媒体にかけた費用を回収できたか

段が進むほど、媒体どうしの差がはっきりします。予約は多いのに来店が少ない媒体や、新規は多いのに再来が少ない媒体は、4段をつないで初めて見えてきます。

集客効果の測定で使う指標と計算式

4段のそれぞれで、次の指標を出します。式の中の「費用」は、その媒体にその月に払ったお金です。掲載料、広告費、チラシの印刷・配布費、紹介の特典などを含めます。

指標計算式見方
予約1件あたりの費用費用 ÷ 新規の予約数広告の画面の数字と近い。来店しなかった予約も含む
来店率来店した新規客数 ÷ 新規の予約数低い媒体は、キャンセルや無断キャンセルが多い
新規1人あたりの費用(CPA)費用 ÷ 来店した新規客数媒体を比べるときの基本の数字
再来率決めた期間内に再来した人数 ÷ 新規客数店に合うお客様を連れてきたか
1人あたりの継続売上新規客が一定期間に払った売上の合計 ÷ 新規客数再来しなかった人も含めた平均
継続粗利 ÷ CPA1人あたりの継続売上 × 粗利率 ÷ CPA1 を超えれば、費用を回収できている

次の図は、4 段のそれぞれで数えるものと、その段で出す指標を並べたものです。

集客効果を媒体ごとに 4 段で測る図。1 予約:媒体から入った新規の予約数で、予約 1 件あたりの費用を出す。2 来店:実際に来店した新規客数で、来店率と新規 1 人あたりの費用(CPA)を出す。3 再来:決めた期間内に 2 回目に来た人数で、再来率を出す。4 継続売上:新規客が一定の期間に払った売上の合計で、1 人あたりの継続売上と継続粗利÷CPA を出す。

CPA は、広告の世界では「成果1件あたりの費用」を指す言葉です。何を成果とするかで数字が変わるため、この記事では成果を「来店した新規客」と決めています。予約1件あたりの費用と混ぜないように、表の見出しにどちらかをはっきり書いておきます。

「1人あたりの継続売上」は、いわゆる LTV(顧客生涯価値)を、期間を区切って実際の売上で数えたものです。期間は12か月が扱いやすい長さですが、来店の間隔が長い業種は長めに取ります。12か月を待てないうちは、3か月の再来率で途中の様子を見ます。

計算の前に決めておくこと

数字を月ごとや媒体ごとに比べるには、次の4つを先に決めて、途中で変えないことが大切です。

  1. 新規客の決め方(例:その店で会計済みの来店が一度もない人)
  2. 再来とみなす期間(例:初回から90日以内に2回目の来店)
  3. 継続売上の期間(例:初回から12か月)と、税抜・値引き後で数えるか
  4. 来店のきっかけが2つ以上あるときの決め方(例:最初に店を知った媒体を1つ選ぶ)

再来の期間の決め方で数字がどれだけ変わるかは、再来率の期間の決め方で詳しく説明しています。

来店のきっかけの記録の仕方

媒体別の集計は、新規客1人ずつに「来店のきっかけ」が1つ付いていないと始まりません。記録の方法は、お客様に聞く方法と、予約の入り口で分ける方法の2つがあります。両方を組み合わせると、記録の漏れが減ります。

予約の経路と来店のきっかけを分けて記録する

最初に押さえたいのは、予約の経路と来店のきっかけは別のものだという点です。Instagram で店を知り、予約はホットペッパービューティー(以下、HPB)から入れた、ということはよくあります。予約の経路だけで数えると、この方は HPB の成果になり、Instagram の効果が見えません。

そこで、記録の欄を2つに分けます。

欄中身使い道
予約の経路HPB、自社のウェブ予約、LINE、電話、店頭予約の手数料や、予約の入り方の確認
来店のきっかけ店を最初に知った媒体(HPB、Instagram、Google マップ、チラシ、紹介など)集客効果の測定

この2つを掛け合わせた表を年に何回か作ると、「Instagram で知って HPB で予約した人」が何人いるかも分かります。こうした方が多い場合、HPB の費用の一部は Instagram で関心を持った方の予約の受け皿として払っている、と読めます。

受付・カウンセリングシートで聞く

いちばん確実なのは、初回のカウンセリングシートや受付で「何でお知りになりましたか」と聞くことです。選択肢は自店で使っている媒体に合わせて固定し、自由記入にしないようにします。自由記入にすると「インスタ」「IG」「SNS」のように書き方がばらけ、数えにくくなります。

紹介の場合は、紹介してくれた方のお名前も聞いておくと、紹介の特典を渡すときにも使えます。聞き取りの結果は、その日のうちに顧客の記録へ入れます。後から思い出して入れると、記録が抜けやすくなります。

URL を媒体ごとに分ける

ウェブ予約やホームページへの入り口は、媒体ごとに別の URL にすると、お客様に聞かなくても記録できます。たとえば、Instagram のプロフィール、Google ビジネスプロフィールの予約リンク、検索広告の飛び先で、それぞれ違う URL を使います。

方法は、同じ予約ページの URL の末尾に、媒体の名前を表す文字列(パラメータ)を付けるのが一般的です。予約システムの中には、媒体ごとの計測用の URL を発行できるものもあります。どの方法でも、URL ごとに媒体の名前を一覧にしておき、作ったあとで変えないことが大切です。

クーポン・合言葉・QR コードで分ける

紙の媒体は URL で分けにくいため、媒体ごとに別のクーポンや合言葉を付けます。チラシには「チラシを見た」と伝えてもらう特典を付け、ショップカードには別の QR コードを載せる、といった形です。チラシ専用の電話番号を用意する方法もあります。

クーポンの値引きは、売上を値引き後の金額で数えれば、費用に足す必要はありません。費用と売上の両方から引くと、二重に数えることになります。

記録の決まり:1人1つ、初回に確定、後から変えない

記録の方法が2つ以上あると、URL では HPB、お客様の答えでは Instagram、のように食い違うことがあります。そのときにどちらを優先するかを決めておきます。この記事では、お客様の答えを優先し、答えがないときに URL やクーポンの記録を使う決まりを例にします。

来店のきっかけは初回の来店のときに確定させ、2回目以降の予約の経路で上書きしないようにします。2回目を LINE で予約した方の来店のきっかけを LINE に書き換えると、最初に連れてきた媒体の再来率が下がって見えるためです。

媒体別の集計表のひな形

記録がそろったら、月ごとに媒体別の表を作ります。表は「その月に初めて来た新規客」を1つのまとまりにして、その人たちのその後を追う形にします。

来店のきっかけ費用新規の予約数来店した新規客数来店率予約1件あたりの費用CPA(新規1人あたり)90日以内の再来人数再来率12か月の1人あたり売上継続粗利 ÷ CPA
(媒体名)
合計

表の欄は、時期をずらして埋まっていきます。費用・予約数・来店数は翌月の初めに、再来率は90日後に、12か月の売上は1年後に決まります。

毎月の作業は、次の順に進めると迷いません。

  1. 月の初めに、先月の費用を媒体ごとに締める(請求書の金額、税抜)
  2. 先月の新規の予約と来店を、来店のきっかけごとに数える
  3. 3か月前の新規客について、90日以内の再来人数を数える
  4. 12か月前の新規客について、12か月の売上を合計する
  5. 表を前の月と比べ、変えたことがあれば表の横に日付と内容を書く

キャンセルは、無断キャンセルと当日のキャンセルを分けて数えておくと、来店率が低い理由が分かりやすくなります。

計算例(仮の数字です)

次の表は、計算のしかたを示すための仮の例です。実在の店舗の数字ではなく、各媒体の料金や効果を表すものでもありません。Instagram には広告費をかけていない想定で、投稿の作業時間(月10時間)を仮の時給1,500円で換算して費用に入れています。粗利率は80%と置いています。

来店のきっかけ費用新規の予約数来店した新規客数来店率予約1件あたりの費用CPA
ポータルサイト120,000円32件28人88%3,750円4,286円
検索広告40,000円9件6人67%4,444円6,667円
Instagram15,000円10件9人90%1,500円1,667円
紹介3,000円4件4人100%750円750円

同じ新規客について、再来と12か月の売上を足したのが次の表です。「12か月の1人あたり売上」は、再来しなかった人も含めた平均です。

来店のきっかけ90日以内の再来人数再来率12か月の1人あたり売上1人あたりの継続粗利継続粗利 ÷ CPA
ポータルサイト8人29%15,000円12,000円約2.8倍
検索広告2人33%14,000円11,200円約1.7倍
Instagram5人56%24,000円19,200円約11.5倍
紹介3人75%26,000円20,800円約27.7倍

この例から読み取れること

ポータルサイトは新規客数がいちばん多く、費用も回収できています。予約1件あたりの費用は3,750円ですが、来店しなかった予約があるため、来店した新規1人あたりでは4,286円です。広告の画面の数字だけで判断すると、1人あたりの費用を低く見積もることになります。

検索広告は、来店率が67%と低く、CPA がいちばん高くなっています。継続粗利 ÷ CPA は1を超えているので赤字ではありません。それでも、予約のあとの確認の連絡を見直して来店率を上げる余地があります。

Instagram と紹介は、人数は少ないものの、再来率と12か月の売上が高く出ています。ただし、1か月に数人の媒体は、1人の違いで再来率が大きく動きます。人数の少ない媒体は、3か月分を足してから判断してください。

数字を読むときに間違えやすい点

媒体別の数字は、集め方の決まりが少しずれるだけで、結論が変わります。次の点は、表を作るたびに確かめてください。

間違えやすい点起きること防ぎ方
予約数だけで比べる来店しなかった予約まで成果に数える来店した新規客数で CPA を出す
再来の予約の経路を、媒体の成果に数えるLINE や自社予約の効果が大きく見え、最初の媒体が小さく見える来店のきっかけは初回に確定し、上書きしない
期間が短い再来や継続売上がまだ出ていない月を「効果が低い」と読む欄ごとに、決まる時期を待ってから比べる
人数が少ない1人の違いで率が大きく動く3か月分を足して見る
無料の媒体を費用0円で数える作業の時間が見えず、CPA が0円になる作業時間を時給で換算して費用に入れる
値引きを二重に引く費用と売上の両方から値引きを引く売上を値引き後で数え、費用には足さない
一度に2つ以上を変えるどの変更が効いたか分からない変えるのは一度に1つにする

HPB にかかる費用の数え方は、ホットペッパーの掲載料と予約ごとの費用の分け方で詳しく説明しています。HPB と自社予約を併用しているときは、HPBと自社予約の予約のまとめ方をご覧ください。

集計を続ける手間を減らす

ここまでの集計は、紙のカウンセリングシートと表計算ソフトでもできます。ただし、新規客が増えると、90日以内に再来したかや、12か月の売上を1人ずつ調べる作業が重くなります。予約・顧客・会計の記録が別々の場所にあると、つなぎ合わせる作業はさらに増えます。

Leporto は、予約・顧客・カルテと、売上と集客の分析をまとめた経営改善型の予約管理システムです。管理画面の「アナリティクス」では、来店のきっかけ別に新規客数と再来率を見られます。来店のきっかけは、顧客の画面で手入力するほか、広告の URL や効果測定用の URL、LINE の友だち追加の URL から自動で付けることも可能です。キャンセルは無断キャンセルと当日キャンセルを分けて記録・集計できるため、媒体ごとの来店率の確認にも使えます。分析の機能は売上と集客の分析のページで紹介しています。

広告をつないでいる場合は、管理画面の広告分析で、媒体ごとに月別の広告費・CPA・予約数などを並べて見られます(表示はデモデータ)。

Leporto の管理画面(アナリティクスの広告分析)。Google広告・Meta・LINE広告・Yahoo!検索広告のタブがあり、Google 広告の月別の広告費・表示回数・CPM・CTR・クリック数・CPC・CVR・CPA・予約サイト訪問者数・予約数・実来店数・売上の表が出ている。数字はデモデータ

よくある質問

集客効果の測定は、何から始めればよいですか?

まず、新規のお客様1人ずつに来店のきっかけを記録することから始めます。初回のカウンセリングシートに選択肢つきの欄を作るのが、いちばん手間の少ない方法です。記録が2〜3か月分たまったら、媒体別の表で新規客数と CPA を出し、その後に再来率と継続売上を足していきます。

媒体別の CPA は、予約数と来店数のどちらで割ればよいですか?

媒体を比べるときは、来店した新規客数で割るのがおすすめです。予約数で割ると、キャンセルや無断キャンセルになった予約まで成果に数えるため、来店率の低い媒体が実際より良く見えます。どちらで割ったかを、表の見出しに必ず書いておいてください。

来店のきっかけを答えてもらえなかった方は、どう数えますか?

「不明」の欄を作って、そこに数えます。不明が多い月は、記録の方法を見直す合図です。URL やクーポンで分ける方法を組み合わせると、お客様に聞かなくても記録できる分が増え、不明を減らせます。

継続売上は、どのくらいの期間で見ればよいですか?

12か月が扱いやすい長さですが、来店の間隔が長い業種は長めに取ります。12か月を待つ間は、90日以内の再来率で途中の様子を確かめます。期間は一度決めたら変えず、すべての媒体で同じ期間を使ってください。