整骨院・整体院の予約システムの選び方:保険と自費の枠、電話対応、問診の取り方

施術ベッドが2台並ぶ治療院で、施術者とベッドごとの格子状の予約枠が映るタブレットを操作する手元と、畳んだタオル

整骨院の予約システムは、「施術者とベッドの両方が空いている時間だけを出せるか」「保険と自費で長さの違うメニューを分けられるか」「来院前に問診をとれるか」の3点で選ぶと、院の運用に合うかどうかを判断しやすくなります。もう一つ大切なのは、予約システムと保険請求のシステム(レセコン)は別の道具だと知っておくことです。予約の画面がどれだけ便利でも、保険の請求の書類まで作れるとは限りません。この記事では、接骨院・整体院・鍼灸院を含む治療院の院長向けに、枠の作り方、電話予約の減らし方、問診の取り方、予約ページに書く内容の注意点を、デモで試すチェックリストとあわせて整理しました。業種を問わない一般的な選び方は予約システムの選び方で解説しています。

整骨院・整体院の予約管理で困りやすいこと

美容室などのサロンと比べると、整骨院や整体院の予約管理には次のような事情が重なります。予約システムを比べる前に、自院にどれが当てはまるかを確かめておきましょう。

院の事情起きやすい困りごと予約システムに求めること
受付を置かず、施術者が電話を取る施術の途中で手を止める。出られずに予約を逃すWeb・LINE で患者さんが自分で予約・変更できる
ベッドや機器の数が限られる施術者は空いているのにベッドが埋まっていて重なるベッド・機器を「枠の上限」として登録できる
保険の施術と自費の施術がある長さの違う予約が混ざり、枠が足りなくなるメニューごとに所要時間と準備の時間を設定できる
初診で聞くことが多い問診に時間がかかり、次の予約が押す来院前に Web で問診を入力してもらえる
通院の間隔が短い患者さんが多い次回の予約の取り忘れ、来院の忘れ次回の予約を会計時に入れやすい。リマインドを自動で送れる

来院の忘れを防ぐ連絡を送る時点と文面は、予約リマインドの例文で紹介しています。

業種に特化した予約システムは、こうした事情を前提に作られていることが多い一方で、汎用の予約システムでも設定次第で足りる場合があります。どちらの型かよりも、上の表の右の列を自院の条件で試せるかどうかで判断してください。

予約システムと保険請求のシステムの線引き

整骨院や接骨院で迷いやすいのが、「予約システムで保険の請求までできるのか」という点です。予約システムが受け持つのは、予約・問診・連絡・自費の会計といった「来院の前後」の業務で、保険の請求の書類を作るのは保険請求のシステム(レセコン)の役割になります。

業務予約システム保険請求のシステム(レセコン)
予約の受付・変更・キャンセル受け持つ製品による
来院前の問診Web 問診がある製品なら受け持つ製品による
予約の確認・リマインドの連絡受け持つ製品による
施術の記録カルテの機能がある製品なら受け持つ製品による
自費のメニュー・物販の会計POS(会計)の機能がある製品なら受け持つ製品による
保険の請求の書類の作成受け持たない(一体型の製品を除く)受け持つ

1つの製品で両方をうたうものを検討するときは、「保険の請求のどの書類まで作れるのか」を契約の前に書面で確かめてください。予約システムだけを入れ替える場合は、レセコンへ患者さんの情報を二重に入力する手間が残るかどうかも確かめておくと安心です。

来院の流れのどこを、どちらのシステムが受け持つのかを図にまとめました。

整骨院の来院の流れと受け持つシステムの図。予約を受ける、来院前に問診をとる、来院時に保険が使えるかを確かめる、施術を記録する、会計する、保険の請求の書類を作る、の6つの順番で、前半は予約システム、最後の請求の書類は保険請求のシステムが受け持つ。

枠の作り方:施術者とベッドの2つで考える

整骨院や整体院の予約の枠は、「施術者が空いているか」と「ベッド・機器が空いているか」の2つが両方そろって、初めて予約を受けられます。予約システムを試すときは、この2つを別々に登録できるかを最初に確かめましょう。

予約を受けられる数の考え方

ある時間に受けられる予約の数は、次のように考えます。

その時間に受けられる予約の数 = 「空いている施術者の数」と「空いているベッドの数」の少ない方

たとえば施術者が3人出勤していても、ベッドが2台なら、同じ時間に受けられるのは2件までです。逆にベッドが3台あっても、施術者が1人なら1件です。施術者だけで枠を作る予約システムでは、ベッドの数を超えて予約が入ることがあります。ベッドや機器を「リソース」として登録し、両方の空きを見て枠を出せるかを確かめてください。

製品によって、この機能の名前や載っているプランは違います。たとえば Square 予約の整骨院・接骨院向けのページでは、「リソース管理」はプレミアム(店舗ごとに月額 8,000 円+決済手数料)の主な機能として載っています(2026年10月18日確認)。月額だけでなく、必要な機能がどのプランに入っているかまで見て比べてください。

保険と自費でメニューの長さを分ける

保険の施術と自費の施術で所要時間が違う院では、メニューを分けて登録するのが基本です。施術の時間とは別に、着替えやベッドを整える「準備の時間」を設定できるかも確かめましょう。

設定する項目決め方の例
メニューの名前患者さんが選びやすい名前にする。初診と再診を分ける
施術の時間実際にかかる時間を、数回分の記録から出す
準備の時間着替え・問診・ベッドの片付けにかかる時間
担当できる施術者資格や得意な施術で、担当できる人を絞る
使うベッド・機器そのメニューで使うベッドや機器を指定する

保険が使えるかどうかは、予約の時点では決まらず、来院してから確かめることになります。そのため予約ページでは、患者さんに保険か自費かを決めてもらうより、「初診」「再診」「自費のメニュー」のように分けておき、保険の扱いは来院時に説明する形にすると混乱が少なくなります。

電話・Web・LINE の予約を1つの予約表にまとめる

電話で受けた予約を紙に書き、Web の予約は画面で見る、という分け方をすると、同じ時間に2件入る原因になります。電話の予約もすぐに同じ予約表へ入れる運用にし、施術の合間にスマホから入力できるかを試してください。

電話予約を減らす進め方(受付のいない院の場合)

電話をすべてやめる必要はありません。電話でしか予約しない患者さんもいるため、「電話でも受けるが、Web や LINE で済む人にはそちらを使ってもらう」と考えると進めやすくなります。

  1. 1〜2週間、予約が電話・Web・LINE のどこから来たかを数える
  2. 通院中の患者さんに、会計のときに次回の予約を入れてもらう
  3. 電話で予約を受けたときに、次からは Web や LINE で予約できることを伝える
  4. 予約の確定とリマインドを自動で送り、確認の電話を減らす
  5. 変更・キャンセルの決まりを予約ページに書き、患者さんが自分で変更できるようにする

最初に数を数えておくと、Web に移ったかどうかを数字で確かめられます。Web 予約の始め方はWeb予約システムの導入、LINE で予約を受ける方法はLINEで予約を受ける方法で紹介しています。

問診を来院前にとる方法

初診の問診を来院前に入力してもらうと、来院してからの書く時間が減り、施術者は答えを読んでから話を始められます。予約システムに Web 問診の機能があるか、予約の完了画面やリマインドから問診のページへ案内できるかを確かめましょう。問診票にどの項目を入れるかは「整体院・鍼灸院の顧客管理」で表にしています。

来院前に聞いてよいこと来院してから確かめたいこと
名前・連絡先・生年月日痛みや不調の場所と様子の詳しい話
来院のきっかけ問診の答えのうち、気になる点の聞き直し
困っている場所(選択式)保険が使えるかどうかの確認
いつ頃からか、きっかけ(選択式)施術の前の体の状態の確認
通院中の病院・服薬の有無(ある・ないの選択)「ある」と答えた項目の詳しい内容
個人情報の取り扱いへの同意施術の内容と費用の説明

来院前の問診は、答えやすい選択式を中心にして、詳しい話は対面で聞く形にすると、患者さんの負担を減らせます。項目の作り方はカウンセリングシートの項目例の整体の欄も参考にしてください。

問診で預かる病歴や体の状態は、扱いに特に注意が要る情報です。個人情報保護委員会と厚生労働省の「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」に関するQ&Aでは、病歴や身体状況、病状などの記録を保存しているなら個人情報にあたり、特に要配慮個人情報の取り扱いについては、法律やガイドライン、このガイダンスを踏まえた取り扱いが必要だとしています(A1-4)。予約システムを選ぶときは、問診の答えを見られるスタッフを絞れるか、通信が暗号化されているかも確かめてください。自院にどの決まりがどう当てはまるかは、専門家にご相談ください。

予約ページに書く内容と広告のルール

予約ページには、メニューの名前や説明、施術者の紹介、変更・キャンセルの決まりを書くことになります。キャンセルの期限やキャンセル料の決め方は無断キャンセル対策で紹介しています。メニューの説明や施術者の紹介で気をつけたいのが、施術所の広告のルールです。

厚生労働省のページによると、あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師・柔道整復師の施術所の広告は、それぞれの法律と、「広告し得る事項」を定めた告示で範囲が決められています。あわせて、厚生労働省は「あはき・柔整広告ガイドライン」という指針を出しています。予約ページの文がこのルールの対象になるか、どの表現なら書けるかは、このガイドラインの本文で確かめてください。厚生労働省のページでは、広告の相談は施術所の所在地を管轄する自治体の窓口へ、と案内されています。

予約ページを作るときは、メニューの説明が施術の内容と時間・料金の説明にとどまっているか、症状が治る・改善するといった効果を約束する書き方になっていないかを見直してください。施術者の紹介では、資格の名前を正しく書いているかも確かめましょう。迷う表現があれば、公開の前に自治体の窓口に相談すると安心です。

この記事は、ガイドラインの内容を細かく解説するものではありません。表現の可否は、厚生労働省の資料と自治体の窓口で確かめてください。

デモで試すチェックリスト

予約システムの無料体験やデモでは、機能の一覧を見るだけでなく、自院の1日の予約を実際に入れてみてください。次の表を、候補ごとに埋めて比べると違いがわかりやすくなります。

試すこと確かめ方
ベッドの数を超えて予約が入らないかベッドを2台にして、同じ時間に3件入れてみる
保険と自費で長さの違う予約が並ぶか短いメニューと長いメニューを続けて入れる
準備の時間が枠に反映されるか準備の時間を設定し、次の空き時間を見る
施術中にスマホで電話の予約を入れられるかスマホから1件入力し、かかった時間を測る
来院前に問診を送れるかテストの予約をして、問診の案内が届くか見る
予約の確定とリマインドが届くかLINE・メール・SMS のどれで届くかを見る
患者さんが自分で変更・キャンセルできるか患者さんの画面から変更してみる
予約の経路を数えられるか電話・Web・LINE の別に件数が出るか見る
保険請求のシステムとどうつなぐか患者さんの情報を二重に入れる手間が残るか聞く

サービスごとの料金と機能の比べ方は予約システムの比べ方、無料の予約システムで足りるかどうかは予約システムは無料で足りる?で整理しています。

予約と問診、LINE の連絡を1つにまとめたい院へ

Leporto は、予約・顧客・カルテ・会計(POS)・売上と集客の分析を1つにまとめた、経営改善型の予約管理システムです。来院前に Web で問診(カウンセリングシート)を入力してもらえます。予約の確定とリマインドは LINE のトークに自動で送れて、自動で送る手段は LINE とメールです(SMS はありません)。予約が電話か Web かを記録して件数を数えられるほか、無断キャンセルと当日キャンセルを分けて記録・集計できます。予約のときの事前決済や、キャンセル待ちの機能もあります。施術者のほかにベッドや機器も予約の枠として登録できるので、上で説明した「施術者とベッドの両方が空いている時間だけを出す」運用に合わせられます。回数券を予約とひもづけられ、コースごとに消化する回数を決めた回数券や、月ごとに払うサブスク(分割払い)で購入してもらう形も用意できます。

Leporto では、ベッドや機器を管理画面の設備設定で、受け付けられる数と使うメニューとともに登録します。設備の数が、同じ時間帯に取れる予約の数の上限になります(表示はデモデータ)。

Leporto の管理画面(設備設定)。施術ベッド A・B(個室)、リクライニングチェア、ヘッドスパ専用シャンプー台の 4 つの設備に、受付可能数と対応できるメニューが並んでいる。デモデータ

一方で、Leporto には保険請求(レセプト)の機能はありません。保険の施術がある院では、保険請求のシステムを別に用意したうえで、予約・問診・自費の会計・LINE の連絡を Leporto で受け持つ、という分け方になります。施術者とベッドの枠の組み方や、1 院・複数院それぞれの費用は整体院向けの予約システムのページ、プランごとの違いはプランごとの料金と含まれる機能で確かめてください。

参考にした公的機関の資料

いずれも2026年10月18日に参照しました。

よくある質問

Q. 予約システムで保険の請求までできますか?

予約システムの多くは予約・連絡・問診を受け持つもので、保険の請求の書類は保険請求のシステム(レセコン)で作ります。両方を1つにした製品を検討するときは、どの書類まで作れるかを契約の前に確かめてください。

Q. 整体院や鍼灸院でも、整骨院と同じ選び方でよいですか?

施術者とベッドの枠、メニューの長さ、来院前の問診、電話の減らし方という確かめどころは共通です。保険の施術がない院なら、保険請求のシステムとのつなぎは考えなくてよいため、その分を予約と連絡の使いやすさで比べられます。

Q. 回数券を使う患者さんの予約も管理できますか?

予約システムによって、回数券を予約とつなげて管理できるものと、別に管理するものがあります。残りの回数や期限をどう管理するかは回数券の管理方法で整理しているので、デモで回数券の扱いもあわせて試してください。

Q. 予約ページのメニュー説明に「腰痛に効く」と書いてもよいですか?

施術所の広告は、法律と告示、厚生労働省の「あはき・柔整広告ガイドライン」で範囲が決められています。効果をうたう表現が書けるかどうかは、ガイドラインの本文で確かめ、迷う場合は施術所の所在地を管轄する自治体の窓口に相談してください。